まどかの報告をみんなでよろこんでいると、彼女が控えめに発言した。
まどか「それでさ、余興を頼んでもいいかな?」
美香子「うん、まかせてよ!」
代表して美香子が答える。
私たちは、アカペラサークルのメンバーだ。大会でも何度か入賞し、実績はそれなりにある。今までも友人の結婚式で何度か披露したし、私が結婚したときも余興を頼んだ。だからこの流れはごく自然で「今回も問題なくできるはず」…と、考えていた。
由梨「あ、そろそろお迎えに行かなくちゃ」
由梨がスマホの時刻を確認して、立ち上がる。それにつられ、解散の流れになった。自然と余興リーダーになった美香子が、みんなに声をかけた。
美香子「じゃあ、日程近くになったら連絡するね」
亜紀「うん、よろしく!」
葵「お願いしまーす!」
笑顔で別れる私たち。けれどもまさか、この余興が友人関係にヒビを入れそうになるなど、この時は思いもしていなかったのである。
友人の結婚報告と余興
友人の結婚報告は、本当にうれしいものですね。お祝いしたい気持ちがあるため、4人は快く余興を引き受けました。
ところが、結婚式まで残り2か月を切ったのに、リーダー・美香子からの連絡が一向に来ません…。心配になった亜紀が連絡をしてみると、どうやら仕事が多忙な様子。美香子に代わり、亜紀が連絡係を買って出ます。そしてようやく、練習の初日…。
焦る…残り少ない準備期間
後日、いつものカフェテラスに集まった4人。「式にこない子へメッセージ動画の依頼をする」と言ったはずの美香子が、そのことをすっかり忘れていた。
美香子「あ、そうだった!」
亜紀「そうだったって…じゃあ、他の子たちにまだ動画頼めてないの?もう式まで1か月切ってるんだよ」
美香子「ごめんごめん!今から送る」
あわてて美香子は、スマホでメッセージを作成し始めた。ただでさえ美香子のスケジュールに合わせて、打ち合わせの日が遅れている。今から動画依頼をし、転送締め切りを1週間後としても、編集期間は3週間もない。切羽詰まったスケジュールになりそうだ。
葵「でも、由梨さんが持ってるムービーの叩き台にすぐ打ち込めば、何とかなりますよね」
葵が冷や汗を流しながらもフォローする。すると、由梨が言いづらそうに切り出した。
由梨「ごめん。ムービーデータ、紛失したの。一から作らなくちゃいけない」
亜紀「え、そうなの?」
余興最初の打ち合わせは、暗雲立ち込めるスタートとなった。
初回の練習で集まったタイミングは、式まで1か月を切っていたのです…。しかも、ムービーの依頼を忘れていました。さらに、追い打ちをかけるように、データ紛失が発覚。切羽詰まったスケジュールに、緊張感が走ります。
ただ、2人を責めても準備は進みません。亜紀が、ムービーの制作を引き受けることになり、気を取り直して歌の練習に入ります。

