4月10日に発売されたコミックエッセイ『離婚するなら、今日かもしれない』(KADOKAWA刊)は、さまざまな若年離婚の形を描いたセミノンフィクション作品となっている。モラハラ気味の男性と結婚した花、友達のような夫婦関係を築いている真弓、「妊活」のプレッシャーを感じているバリキャリ系の亜里沙の3人の視点から、いろいろな夫婦の在り方を示す。
夫婦関係、さらには離婚に至るまでの経緯の多様さを表現した作者・ゆりゆさんに、本作制作の経緯など、話を聞いた。



『離婚するなら、今日かもしれない』タイトルに込めた思い
本作はKADOKAWAが手掛けるコミックエッセイシリーズ「シリーズ立ち行かないわたしたち」からリリースされている。ゆりゆさんは同シリーズで新人賞を獲得したことを受け、担当編集者から「若年離婚をテーマに作品を描きませんか?」とオファーされたことが、本作を制作するきっかけになったという。ただ、制作には不安もあったようだ。「『シリーズ立ち行かないわたしたち』の作品は重いテーマを扱うことが多いです。普段私が描く漫画は比較的明るいテイストで、ギャグも多いので、『私で大丈夫かな』という気持ちはありました」
また、『離婚するなら、今日かもしれない』という、目を引くタイトルになった経緯を振り返る。
「離婚って『この関係をこのまま続けるわけにはいかないよね』という思いを抱きながらも、何年もズルズルと何もできずにいるケースが多いと思います。離婚に踏み出せずに悩んでいる人たちが、『その決断をするのは今日かもしれないのでは?』とハッとするようなものになればと思い、このタイトルになりました」
なぜ“夫に名前がない”のか。作者が明かした理由
主人公が1人でも2人でもなく3人登場する理由について、ゆりゆさんは「コミックエッセイは“共感”がとても大事だと思っています」と答える。「主人公が3人いれば、その誰かには共感できると思います。仮に自分自身と重ねられなくても、近しい性格・境遇の人が身近にいるはずです。読者に登場人物を身近に感じてもらえるよう、3人登場させました。
また、友達同士にすることで3人が抱えている悩みもわかりやすくなりますし、なにより『誰もが表面的には幸せそうに見えているけれど、裏では葛藤や悩みを抱えているのかも?』ということが伝われば、と考えたことも影響しています」
登場人物で言えば、各主人公の夫も登場するが、いずれも名前がない。名前を設けず“○○の夫”とした狙いは何なのか。
「『登場人物全員の名前を覚えられないのでは?』と危惧しました。あとは、女性が主役の作品で、本作における夫はあくまで“夫”という存在です。名前があると物語のノイズにもなりそうだったため、名前は付けませんでした」

