●「捜査を尽くしたうえで不起訴なら、こんな思いにならなかった」
「私の人生の中で一番辛かった日は、被害を受けた日です。ですが、検察で聴取を受けた日も、それと同じくらいの深い絶望を感じた日でした。
十分な知識と経験を持つ検事が必要な捜査を尽くした上で起訴に至らないという結論だったのであれば、私自身、ここまでの思いにはならなかったかもしれません」
女性は会見でそう振り返り、提訴に踏み切った理由を語った。
「私は今回、検察からの対応を受けて、性被害に限らず多くの事件において、被害者が置き去りにされてしまう可能性がある、そしてその可能性が高い、ということに強い不安と不信感と恐ろしさを感じました。
そして性被害という問題は特に、担当検事の価値観や先入観、認識の差が、判断に大きく影響しやすい分野なのだと感じます。
だからこそ司法には、個人の感覚ではなく、組織としての知識や理解、そして公平性が求められるのではないでしょうか。
検察には、“勝てる事件だけを扱う”のではなく、被害者の声に真摯に向き合い、重い被害結果をもたらす性被害に対してもっと誠実に向き合う姿勢が必要だと思います。
そして何より、検察組織全体の性被害に関する知識や認識を、今の時代に合わせてしっかりとアップデートしていく必要があると感じています」
●代理人「ガバナンスが致命的に欠けているのが検察の実態」
女性の代理人をつとめる桜井祐子弁護士は、検事とのやり取りの録音が禁止されていたことから、女性に録音するよう助言しなかったことについて、「検察を信頼しきって疑いすら持たなかった自分自身が不甲斐ない。私の弁護士人生で最大の後悔であり、手落ちです」と述べた。
一方で、検事とのやり取りについては、女性から詳細な聞き取りをおこない文書化しており、裁判ではこれらの記録を証拠として主張していくという。

桜井弁護士は、次のように社会に理解を求めた。
「検察が公訴権を独占し、各検察官に極めて大きな裁量が認められている中で、冤罪も、救われない被害者も、適当な事件処理から生まれます。この適当な事件処理を防ぐ仕組み、つまりガバナンスが致命的に欠けているのが、残念ながら検察の実態です。
冤罪を防ぐために、被害者の証言の吟味は必要です。ですが、今回の検事の発言は吟味に資するような発言では全くなく、単に被害者の声を軽視し傷つけ、真実発見を阻害する違法不当な発言であったため、国賠に至っていることをご理解ください」

