ドーパミンが不足すると現れる症状

運動機能の障害(パーキンソン症状)
ドーパミンが著しく不足すると、脳からの運動指令がスムーズに伝わらなくなり、運動機能に障害が現れます。典型的なのが「パーキンソン病」に似た症状です。 安静時の振戦(何もしていない時に手足が震える)、無動・動作緩慢(動きが遅くなる、歩き出しの一歩が出ない)、筋固縮(筋肉がこわばる)、姿勢反射障害(転びやすくなる)などが挙げられます。また、脚がむずむずする不快感(むずむず脚症候群)が出ることもあります。
一時的なこわばりであれば、身体を温めてストレッチをすることで和らぐ場合があります。しかし、これらは脳内の神経伝達物質の問題であるため、自力での改善は困難です。転倒しないように環境を整えることが優先されます。震えや動作の緩慢さが続く場合は、早急に脳神経内科を受診してください。
精神的な症状(意欲低下・うつ状態)
脳のエネルギー切れのような状態になり、精神活動が停滞します。「アパシー(無気力)」と呼ばれる状態が特徴的です。悲しいわけではないのに、何をするのも億劫になる、以前楽しかった趣味に喜びを感じなくなる、身だしなみに気を使わなくなる、といった症状が現れます。うつ病の症状と重なりますが、特に「意欲の減退」が著しいのが特徴です。
このような場合には、無理に頑張ろうとせず、休息を優先してください。朝起きて日光を浴びる、軽い散歩をするなど、リズム運動を行うことでセロトニンとドーパミンの分泌を促すことができます。日常生活に支障が出るほどの無気力が続く場合は、精神科や心療内科を受診してください。
認知機能・注意力の低下
前頭葉でのドーパミン不足により、思考力や集中力が低下します。仕事や家事でのミスが増える、話の内容が頭に入ってこない、物事の段取りが組めない、といった症状が出ます。また、集中力が続かず、ぼんやりしてしまう時間が長くなります。大人のADHD(注意欠如・多動症)の症状としても知られており、不注意が目立つようになります。
対応策として、マルチタスクを避け、一つずつの作業に集中するようにします。スマホなどの通知を切って刺激を減らす「デジタルデトックス」を行い、脳の疲労を回復させることも有効です。
仕事や生活への影響が大きい場合は、精神科や心療内科で相談してください。特に若い頃から傾向がある場合は、発達障害の特性である可能性も含めて専門医の判断を仰ぐのが良いでしょう。
「ドーパミン」についてよくある質問

ここまでドーパミンについて紹介しました。ここでは「ドーパミン」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
ドーパミンはどういう時に出ることが多いのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
ドーパミンは、嬉しいことが起きた時だけでなく、「これから嬉しいことが起きそうだ」と予測した瞬間に最も多く放出されます。これを「報酬予測」と言います。例えば、旅行に行っている最中よりも、旅行の計画を立ててワクワクしている時の方が、脳内ではドーパミンがたくさん出ていることが多いのです。また、予期せぬラッキーな出来事(サプライズ)があった時にも強く反応します。逆に、結果が期待外れだとドーパミンの放出は止まり、ガッカリした気分になります。
ドーパミンが増えすぎるとどうなりますか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
何事もバランスが重要で、ドーパミンは多ければ多いほど良いわけではありません。過剰になると、幻覚や妄想が見えたり、衝動が抑えられなくなってギャンブルやアルコールなどの依存症に陥りやすくなったりします。また、チック症などの意図しない体の動きが出てしまうこともあります。適度な量が分泌され、かつ「セロトニン」などのブレーキ役となる神経伝達物質とうまくバランスが取れている状態が、心身にとって最も健康的です。

