心地よかった距離感の変化
子どもがまだ小さかった頃、地域の集まりで仲良くなったママ友グループがありました。
月に一度は誰かの家に集まり、育児の悩みを相談し合ったり、困った時はお互いの子どもを預け合ったり。スマートフォンのグループメッセージは毎日のように通知が鳴り、他愛のない会話で盛り上がっていました。
「ちょっと距離感が近すぎるかな?」
時折、そんな風に感じることもありましたが、初めての育児で心細かった私にとって、彼女たちは暗闇を照らす灯台のような、なくてはならない存在だったのです。
しかし、子どもたちが少し大きくなり、それぞれの生活リズムが変わるにつれ、グループの関係性にも少しずつ変化が訪れました。
良かれと思った「共感」の罠
ある時期から、グループの中でも特に沙織さん(仮名)というママ友と、2人きりで会う機会が増えていきました。
沙織さんは明るく行動力のある人でしたが、2人でカフェに入ると、決まって家庭の悩みや、同じグループのママ友である美紀さん(仮名)への不満を口にするようになったのです。
「美紀さんも、こないだの集まりでちょっと冷たかったと思わない?人の悩み事に正論で返す感じの人だよね~」
当時の私は、悩んでいる沙織さんを慰めたい、味方になってあげたいという一心でした。波風を立てたくないという気持ちもあり、彼女が欲しがっているであろう言葉を、深く考えずに返してしまっていたのです。
「そうだね、それは大変だったね」
「確かに、そういうところあるかもね」
それが、すべてのボタンの掛け違いの始まりだとは、当時の私は気づく由もありませんでした。

