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過干渉を正義と信じる母。母が頼ったのは祖母だった|授かり婚で両家がもめた話

過干渉を正義と信じる母。母が頼ったのは祖母だった|授かり婚で両家がもめた話

里奈の妊娠についての責任問題について、祐一の家に怒鳴り込んだ母。しかし母が帰ったあと、祐一は苦悩の末ある一言を発します。

彼の、どうしても許せなかったこと

苦悩

嵐が去った後の祐一さんの実家には、重く淀んだ空気が立ち込めていました。
リビングに座る彼の母の肩は小さく震え、あんなに毅然としていた彼女が、まるで一気に老け込んでしまったかのように見えました。

「里奈さん……ごめんなさいね。お母さんにうまいお返事もできなくて」

彼の母は絞り出すような声で言いました。被害者であるはずの彼女が私に謝る。そのことが、私の心を一層苦しめました。

「おかあさん、謝らないでください……。私の母が、本当にとんでもないことをして……」

すると、それまで沈黙を守っていた祐一さんが、静かに、しかし鋼のように硬い声で口を開きました。

「里奈。……もう、限界だ。僕はこれまで、君のお母さんの干渉も、理不尽な要求も、君を大切に思うがゆえのことだと思って耐えてきた。でも、今日のことは違う。僕の母をあんな風に侮辱し、君の体や赤ちゃんのことも考えずに喚き散らすなんて、もう理解の範疇を超えている」

彼は私をまっすぐに見つめました。その瞳には、かつての迷いはありませんでした。

「僕は、あのお母さんとは二度と会いたくない。親戚としての付き合いも、結婚後の交流も、一切断たせてもらう。もし君が、どうしてもお母さんと縁を切れないと言うなら……僕は、この結婚自体を考え直さなきゃいけないかもしれない」

彼の言葉は、最期の通告でした。私はただ、自分の浅はかさを呪うしかありませんでした。母の異常性をどこかで楽観視し、いつかは分かり合えると期待していた。その甘さが、私にとって最も大切な人たちを深く傷つけてしまったのです。

翌日、私は心身ともに憔悴しきっていましたが、どうしても一つだけ確かめなければならないことがありました。母は今、どうしているのか。あんなに興奮していた後で、何か取り返しのつかないことをしていないか。
祐一さんには「少し散歩に出る」と嘘をつき、私は再び実家へと向かいました。

家の前まで来ると、開いた窓から母の話し声が聞こえてきました。また怒鳴っているのかと思いきや、その声はひどく弱々しく、何かに縋るような湿り気を帯びていました。
私は生垣の陰に隠れ、息を殺して耳を澄ませました。母は誰かと電話をしていたのです。話し方から、すぐに相手が私の祖母(母の実母)だと分かりました。

「……ねえ、お母さん。聞いてよ。里奈が、あの男のせいでめちゃくちゃにされちゃったの。あの子のために、私は尽くしてきたのに。どうしてあの子は私の気持ちを分かってくれないの?」

母の声は、次第に嗚咽に変わっていきました。

「私はただ、里奈に幸せになってほしかっただけなのよ。私の時みたいに、苦労してほしくなかった。だから守ってあげなきゃいけないのに、里奈は私を突き放して、あんな不潔な家の方を持つなんて……。お母さん、私はどうすればいいの? 私は間違っていないわよね?」

愛の檻から抜け出す時

檻

その言葉を聞いた瞬間、私の背筋に冷たいものが走りました。
母は、本気でそう思っているのです。自分の支配を「守護」と呼び、自分のエゴを「愛情」と信じ込んでいる。彼女の中には、私を一人の人間として尊重するという概念そのものが欠落していました。母にとって、私は自分の人生をやり直すための「二度目のチャンス」でしかなかったのです。

祖母が電話の向こうで何を言っているかは聞こえませんでした。しかし、母は必死に自分の正当性を訴え続け、子供のように泣きじゃくっています。その光景は、滑稽であると同時に、あまりにも救いがありませんでした。

(私は、この「愛」という名の檻の中に、三十年も閉じ込められていたんだ……)

私はチャイムを鳴らすことを諦めました。今ここで母と対峙しても、彼女は「可哀想な私」を演じ、私を罪悪感で縛り付けようとするだけでしょう。私は母を救うことも、変えることもできない。私にできるのは、この檻から自らの力で脱出することだけなのだと、確信しました。

私は足早に実家を去りました。何度も振り返りそうになる自分を叱り飛ばし、前だけを見て歩きました。祐一さんの実家に戻ると、彼は彼の母とリビングで私を待っていたようでした。
私は彼の前に膝をつき、その大きな手を握りしめました。

「祐一さん、おかあさん。……さっき、実家に行ってきました。中には入らなかったけど、母の声を聞いて、確信しました。私は、母から離れます。二度と、二人を母に会わせません。母が何を言っても、何をしても」

私の目には、もう涙はありませんでした。あるのは、一人の母親として、そして一人の女性として生きていくための冷徹なまでの決意でした。
彼の母が私の隣に座り、優しく背中を撫でてくれました。

「里奈さん。親を捨てるのは、とても勇気がいることよね。でもね、あなたはもう、誰かの『娘』である前に、これから生まれてくる子の『母親』なの。子供を育てる親っていうのはね、時には冷酷にならなきゃいけない時もあるのよ。自分たちの家庭という城を守るためにね」

彼の母の言葉は、私の魂に深く染み渡りました。親に逆らうこと。それは親不孝ではなく、一人の大人として自立するための「聖なる儀式」なのだと、ようやく理解できたのです。

配信元: ママリ

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