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累計250万部突破の大ヒット漫画『みいちゃんと山田さん』キャラ名鑑① 「みいちゃん」「山田さん」を深掘り解説

累計250万部突破の大ヒット漫画『みいちゃんと山田さん』キャラ名鑑① 「みいちゃん」「山田さん」を深掘り解説

累計発行部数が250万部を突破するなど社会現象とも呼べる大ヒットを記録している漫画『みいちゃんと山田さん』(亜月ねね作)がいよいよ物語のクライマックスに突入している。24日に講談社の公式マンガアプリ「マガジンポケット(マガポケ)」で先読み有料配信された最新話では、みいちゃんを殺すことになる犯人候補たちが、ある場所に大集合する場面が描かれ、いよいよみいちゃんの最期が迫ってきた。

毎週日曜更新の本作だが、次回更新が6月14日になることが発表されている。5月27日には公式Xにて累計発行部数が250万部を突破したことが発表された。次巻(第7巻)での完結がすでに明言されており、物語のクライマックスで設けられたこの休載期間に、本作に登場するキャラクターたちを改めて紹介していく。

第1回は、タイトルにもなっている二人の主人公、「みいちゃん」こと中村実衣子と、「山田さん」こと山田マミについて深掘り解説していく。

本作は、社会のセーフティーネットからこぼれ落ちた若者が搾取されていく過程を生々しく描くフィクションだ。しかしながら、現実のSNS上では発達障害などを抱えた女性に対し「みいちゃん」と揶揄する“レッテル貼り”が横行し、社会問題にまで発展している。

■ 中村実衣子(みいちゃん)

本作の主人公。宮城県出身、1990年12月22日生まれの21歳。第1話の冒頭で「12カ月後(2012年12月)に殺害される」ことが確定している。身長148cmで幼い外見だが、実際の姿は小太りな体型。一人称が「みいちゃん」で、成人しているとは思えない幼い言動をとる。みいちゃんの具体的な障害や診断については、作中で明らかにされていない。

簡単な漢字の読み書きができず、来店客の前でも本名や住所を公言するなど個人情報の扱いにも無頓着。周囲からは「可哀想」だというレッテルを貼られがちだが、本人は知的障害の可能性を受け入れず、他人の力を借りる支援の手も頑なに拒絶する。「バカ」という言葉に過剰反応して激昂するほどプライドが高い一方で、褒められることやプライドが満たされることに異常なほど固執する。

長年の不登校とネグレクトにより、マナーや倫理観が非常に危うく、窃盗や身を売る行為を「お金が無かったらしても良い」と考える。税金未払いで保険証を持っておらず、他人の保険証を借りるという違法行為も平気で行っていた。学生時代の深刻な性被害などから、トラブルを性的接触で乗り切ろうとする習慣が身についており、新大久保の夜の店に移籍してからはさらに不健康な状態へと陥っていく。知性や品性が欠如している一方で感受性は人並みに高く、幼少期からの疎外感や、祖母が自分に抱く嫌悪感、母親の無関心などを敏感に察知している。

山田さんとの同棲が最悪の形で破綻したあとは、山田の勧めもあり故郷の宮城へ帰郷。しかし、帰郷から1カ月半後の12月中旬頃(単行本の裏表紙の描写より)に失踪する。最終的に何者かによって殺害され、翌2013年の明け頃に地元の山中にて遺体となって発見されることになる。

【筆者の視点】 作者の昔の知り合いがモデルになっているとされているが、物語自体はあくまでフィクションである。しかし、現実のSNSにおいて、発達障害を持つ女性を揶揄する蔑称として「みいちゃん」という言葉が乱用される事態が起きている。彼女は「近親相姦による出生」といった極端かつショッキングな設定が付与されていることからもわかるように、物語を牽引するための特異なキャラクター造形にすぎない。この極端なフィクションの姿を現実の当事者に安易に当てはめる行為は非常に危険であり、差別の再生産に他ならない。

作中の彼女は、単なる「かわいそうな被害者」ではなく、優しくしてくれた人間に懐く一方で、常識を知らないがゆえに恩を仇で返す行為を無自覚に行い、山田さんや幼馴染のムウちゃんの人生を壊していく加害性も孕んでいる。社会のセーフティネットからこぼれ落ち、無自覚に他者を搾取・加害していく「業の深さ」こそが、この物語の持つ独自の恐ろしさである。

■ 山田マミ(山田さん)

本作の狂言回しであり、もう一人の主人公。大学に通いながら歌舞伎町のキャバクラ「Ephemere(エフェメール)」で働く21歳。「マミ」は源氏名、「山田」もみいちゃんに本名を聞かれてとっさに付けた偽名なのだが、作中では他のキャラクターからも「山田さん」と呼ばれている。33話(2)までの時点で本名は明かされていない。なお山田という偽名については、佐藤でも鈴木でもなく、日本で最も匿名性の高い偽名は「山田」という考えでみいちゃんに名字を聞かれた時に山田と答えた。

金髪の派手な外見に反して文学を愛し、控室では客に営業メールも送らずに小説を読んでいるような知的な一面を持つ。正義感と面倒見の良さがあるが、その根底には、過干渉で教育虐待を行う実母(毒親)に傷つけられて育った深いトラウマと、それに起因する摂食障害がある。イラストを描くことが特技で、みいちゃん専用のプラコップに似顔絵を描いてあげるなど、優しく接してみいちゃんと関係性を築いていた。指名客のタカシからの後押しもあり「漫画家になりたい」という夢を抱くようになる。その夢を初めて言葉にできた相手がみいちゃんであったことから、山田にとってみいちゃんが大切な存在になる。

どこか自分の過去と重ねる形でみいちゃんを気にかけ、DV彼氏のマオから引き離して同居生活を始める。同時期にみいちゃんを夜の世界に堕としたのが店長だったと知るなど、キャバクラの実態を知って退店し、髪をショートにしてレンタルビデオ店で働き始めた。この時、自分がキャバクラを辞めたことを理由に「みいちゃんも夜の仕事を辞めて」と促し、パン屋のアルバイトに応募させる。しかし、その面接の練習風景は、かつて実母が山田自身に行っていた支配的な教育にそっくりだった。売上をピンハネする悪質な店だったとはいえ、夜の世界はみいちゃんが唯一「活躍できる」職場であったことは間違いない。そこから引き剥がされた結果、みいちゃんはパン屋をすぐにクビになり、金稼ぎのために路上での客引きで拾った男を山田の部屋に連れ込むこととなる。

みいちゃんの常識が全く通じない異常性に直面し続ける中で山田は次第に心身の余裕を失い、見た目も元同僚のココロ曰く「小太りになりイモ臭くなった」とだらしなく荒んでいってしまう。決定的な破綻は2012年10月26日。みいちゃんに自身のベッドを、客引きした男との不適切な行為に使われたことに激昂し、口論の末に約20万円の液晶タブレットを破壊されたことで、遂に手を出してしまう。

【筆者の視点】 彼女は本作が描く「個人の善意の限界」を象徴する存在だ。みいちゃんと並ぶことで山田は保護者のような「大人」に見えるが、彼女もまだ21歳の大学生であり、言ってみれば子供にすぎない。特筆すべきは、「山田の母→山田」「山田→みいちゃん」「みいちゃん→ペットのハムスター(ハムカツ)」へと連なる、いびつな支配の連鎖である。彼女たちは皆「親(ママ)」として振る舞おうとするが、その実態は、相手の意思や適性を無視して自分の理想を押し付ける「飼い主とペット」の関係に極めて近い。

「みいちゃん相手には暴力しかない」という現実を自ら体現してしまったこと、そして自分が最も嫌悪していたはずの実母と同じ行動(相手の適性を無視した目標の強要や支配)をみいちゃんに取っていたことに絶望し、同居を解消してみいちゃんを宮城へ帰郷させた。

結果的に同居生活が破綻したのは、みいちゃんから働き口という居場所を奪い、無理な労働を強要した山田自身が「撒いた種」という見方もできる。直接手を下していないとはいえ、彼女の独善的な善意が間接的にみいちゃんを死に近づけてしまったことは否めない。殺害現場のペンチを引っ越しの荷物に入れたことや、2025年の未来で「失敗した」と激しく後悔している描写から、かつてSNSでは「山田さん犯人説」が持ち上がったこともあった。しかし、みいちゃんの生活圏が宮城へ移行した現在、東京にいる山田さんが直接的な実行犯である可能性は極めて低いとみていいだろう。

👇 単行本6巻までの全伏線から読み解く、真犯人の徹底考察記事はこちら!

次回はエフェメールの関係者ら、みいちゃんが東京で出会う人物にスポットを当てる。

配信元: iza!

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