「手洗い・うがいはしているのに、子どもがよく風邪をひく」と感じている保護者は少なくありません。特に子どもは、集団生活の中で感染の機会が多く完全に予防することは難しいとされています。一方で、日常生活の工夫によっては感染リスクを下げることもできます。そこで今回は、風邪の基本的な知識から、手洗い・うがい以外にできる予防方法、風邪をひいたときの対処法まで、日本小児科学会専門医の成戸先生に詳しく解説していただきました。
※2026年3月取材。

監修医師:
成戸 史絵(戸塚共立おとキッズクリニック)
川崎医科大学卒業。小児科医として、風邪などの感染症をはじめ、喘息やアトピー性皮膚炎などの一般小児科疾患の診療に幅広く従事。新生児から中学生までの子どもを対象に、年齢や発達段階に応じた診療をおこなっている。現在はおとキッズクリニックにて、安心して相談できる医療の提供を心がけている。日本小児科学会専門医。
なぜ子どもは何度も風邪を引くの? 知っておきたい原因と感染の仕組み
編集部
そもそも風邪とはどのような病気のことを指すのでしょうか?
成戸先生
風邪は医学的には「かぜ症候群」と呼ばれ、主に鼻やのどなどの上気道にウイルスが感染して起こる急性炎症を中心とした症状の総称です。原因の多くはウイルスで、鼻水や鼻づまり、のどの痛み、せき、たんといった症状に加え、発熱やだるさなどの全身症状がみられます。多くの場合は数日から1週間程度で自然に回復しますが、症状の程度や経過には個人差があります。
編集部
風邪はどのようにして感染するのか教えてください。
成戸先生
主な感染経路は飛沫感染と接触感染です。飛沫感染は、くしゃみやせきで飛び散ったウイルスを吸い込むことで起こります。接触感染は、ウイルスが付着した手で口や鼻、目などの粘膜に触れることで体内に侵入します。日常生活の中で知らないうちに感染することも多いため、基本的な感染対策を習慣化することが重要です。
編集部
風邪を“ひきやすい人”と“ひきにくい人”の違いはあるのでしょうか?
成戸先生
子どもは保育園や学校などの集団生活の中で感染する機会が多く、風邪をひきやすい傾向があります。一方で、生活環境や日々の体調によってもかかりやすさは変わります。鼻やのどの粘膜が乾燥すると、外から入ってきたウイルスを防ぐ働きが弱まりやすくなります。体質だけでなく、生活環境や習慣も風邪のかかりやすさに影響します。
手洗い・うがいだけで終わらせない!感染リスクを下げる「環境と習慣」の整え方
編集部
手洗い・うがい以外に、風邪予防として効果が期待できる対策について教えてください。
成戸先生
手洗い・うがいは基本ですが、それだけで完全に予防することは難しいとされています。日常生活の中では、体を冷やさないことや、こまめに水分をとることが大切です。温かい飲み物や入浴は体温を保つ助けになります。また、無理のない範囲で生活習慣を整えることが重要です。「できる範囲で継続すること」が予防につながります。
編集部
マスクの着用や加湿、換気などは風邪予防に効果があるのでしょうか?
成戸先生
マスクの着用は飛沫を防ぐだけでなく、のどの乾燥を防ぐ点でも有効です。室内では加湿と換気を組み合わせることが重要です。空気が乾燥するとウイルスが広がりやすくなるため、湿度を保つことが推奨されます。また、閉め切った空間ではウイルスがたまりやすくなるため、こまめに換気をおこなうことで感染リスクを下げることができます。
編集部
睡眠や食事、運動などの生活習慣は風邪予防にどの程度関係するのでしょうか?
成戸先生
生活習慣は体調を整えるうえで重要な要素です。十分な睡眠は体の回復を助け、日中の活動にも影響します。食事は特定の栄養素に偏るのではなく、バランスよくとることが大切です。また、適度に体を動かすことで体調管理につながります。特別な対策を取り入れるよりも、日常生活を整えることが風邪予防の基本となります。

