ステント治療の特徴
PCI治療(経皮的冠動脈形成術)は、心臓の冠動脈が狭くなったり詰まったりした箇所に対し、カテーテルやステントなどを用いて治療する総称です。狭心症や心筋梗塞などに対する治療法であり、冠動脈の血管を内側から広げて血流の改善を図ります。
ここではその主な特徴を4つ解説します。ご自身、もしくはご家族に当てはまるか確認し理解しておきましょう。
身体への負担が少ない
PCI治療での大きなメリットは、身体への負担が小さく抑えられることです。外科的手術のように胸を開く必要がなく、局所麻酔を使用するため、手術時間が短く済みます。
高齢の方や持病がある方など、受ける方に制限なく治療できるのが特徴です。
内服での治療が難しい狭心症症状に勧められる
狭心症に対し、内服薬で経過を追うのが一般的です。しかし、動悸や息切れの頻度が多くなったり、長時間続いたり症状の悪化がある場合は内服での改善は限界かもしれません。
この状態を放置しておくと、心筋梗塞を引き起こすリスクが高まるため、次へのステップとしてステント治療が推奨されることもあります。
抗血栓療法の継続が治療の一部
ステントは身体にとって異物になるため、内服を怠ると血栓ができやすくなり、血栓ができると再び詰まる恐れがあります。そのためステント治療後は血栓を予防するために抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)を服用することが必要です。
心筋梗塞の再発を防ぐために内服は医師の指示通りに服用します。症状がないからといって自己判断で止めないようにしましょう。
血流への影響を確認してからの治療
ステント治療では、最初に造影剤を使用して血管の形状を確認します。血管内の狭窄がそこまで強くない中等度の狭窄であった場合には、次にFFR検査(冠血流予備量比)を行って症状の原因となり得るかを評価します。
FFR検査とは、実際に血流がどの程度妨げられているかを評価するものです。狭窄があったとしても血流への影響が少ないと判断された場合は、内服治療で経過をみることもあります。ステントを一律に留置するのではなく、評価結果を踏まえて必要な部位のみ留置する点が特徴です。
心筋梗塞でのステント治療で生存率を上げる方法
ステント治療を受けた後に10年、15年と長く健やかに過ごしていくためには、その後のフォローとケアが不可欠です。ここからは、具体的にどのようなケアが生存率を上げることにつながるのか、3つのポイントで詳しく解説します。
定期的な経過観察
カテーテル治療は器具を使い、血管を物理的に広げただけにすぎず、心筋梗塞の原因となる動脈硬化そのものは変わりません。退院後、再発を予防するために外来通院はとても大切です。
万が一、胸の違和感や息苦しさ、急な体重増加やむくみなどの症状が出てきた際は、再発や新たな疾患の恐れがあります。予約診療まで待たずに早めに受診しましょう。
運動療法や生活習慣指導への参加
運動や生活習慣を見直し、管理することは心筋梗塞の再発を予防するうえでとても重要です。心筋梗塞を起こした心臓は機能が低下しているため、心臓への負担が大きい運動は制限される場合があります。
心臓リハビリテーションでは、まずは治療後軽い歩行練習から始まり、血圧や心電図を用いてモニタリングで評価します。「どの程度までの運動ならやっていいの?」とよく聞かれますが、一人ひとりに合ったプログラムを専門の理学療法士と一緒に行うため、無理のない範囲を把握しておきましょう。
ほかにも動脈硬化予防での食事管理や禁煙、規則正しい生活について専門スタッフがフォローします。こうした多方面からのケアを続けることで長期的な生存率へつながります。
合併症を減らす手術法の選択と早期治療
心筋細胞の壊死は血流が止まってから短い時間で始まります。一度壊死した心筋細胞は、元の状態に回復しません。心筋梗塞の場合、治療開始後に血管を広げるまでの時間が短いほど、心筋のダメージを最小限に抑えられます。
そのため、一刻も早い処置が必要です。ステント治療においては、出血リスクが低い箇所からのアプローチが主流で身体への負担が少なく、入院期間が短くなる傾向があります。
こうした早期治療と術式の選択により術後の早めの離床とリハビリへの移行がスムーズになります。

