全身性エリテマトーデスは、免疫の異常によって自分自身の身体に炎症が起こる自己免疫疾患の一つです。原因は一つではなく、体質や環境要因が複雑に関わることで発症すると考えられており、症状の現れ方や経過にも個人差があります。
発症のきっかけやリスク因子についてはさまざまな研究が進んでいますが、日常生活との関わりも含めて理解しておくことで、早期の気付きや再燃の予防につながる可能性があります。また、どのような方に多いのかを知ることは、自身の体調変化を観察するうえでも参考になるでしょう。
この記事では、全身性エリテマトーデスの原因や発症のきっかけ、リスクが高いとされる方の特徴を解説します。

監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)
診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科
全身性エリテマトーデスの原因

全身性エリテマトーデスはなぜ起こるのですか?
全身性エリテマトーデスは、一つの原因だけで発症する病気ではなく、遺伝的な体質と環境要因が重なって起こると考えられています。もともと免疫が過剰に反応しやすい体質を持つ方に対して、紫外線、感染症、ストレス、ホルモンの変化などが引き金となり、免疫のバランスが崩れることで発症につながります。特に若い女性に多いことから、女性ホルモンが発症に関与している可能性も指摘されています。ただし、どの要因がどの程度影響するかは個人差があり、特定の原因だけで説明できるものではありません。
全身性エリテマトーデスで自己の免疫が身体を攻撃する理由を教えてください
本来、免疫は細菌やウイルスなどの異物を排除するために働きますが、全身性エリテマトーデスではその仕組みがうまく制御されず、自分自身の細胞や組織を異物と認識してしまいます。その結果、自己抗体と呼ばれる抗体が産生され、自分の身体の成分と結びついて炎症を引き起こします。特にDNAや核成分に対する抗体が関与し、これらが免疫複合体を形成して血管や臓器に沈着することで、全身に炎症が広がると考えられています。
なぜ自己免疫疾患になるのですか?
自己免疫疾患が起こる背景には、免疫の過剰な反応を抑える仕組みの異常が関係しています。通常は自分の身体に対して反応しないように免疫が調整されていますが、その制御が乱れることで自己に対する攻撃が起こります。この異常には、遺伝的な要因に加えて、感染症や環境因子による免疫の刺激が関与していると考えられています。また、体内で不要になった細胞の処理がうまくいかず、自己成分が免疫に認識されやすくなることも一因とされています。こうした複数の要因が重なり合うことで、自己免疫疾患として発症すると考えられています。
全身性エリテマトーデスを発症するきっかけ

全身性エリテマトーデスを発症するきっかけを教えてください
全身性エリテマトーデスは、もともとの体質にいくつかの外的要因が重なることで発症すると考えられています。代表的なきっかけとしては、紫外線曝露、感染症、強いストレス、ホルモンバランスの変化などが挙げられます。特に、紫外線は皮膚の細胞に影響を与え、免疫反応を活性化させることで発症や再燃の引き金になることが知られています。また、妊娠や出産といったライフイベントを契機に発症するケースもみられますが、これらはあくまで引き金であり、それだけで発症するわけではありません。
食生活が原因で発症することはありますか?
食生活だけが直接の原因となって全身性エリテマトーデスを発症することは基本的にありません。ただし、極端な栄養バランスの偏りや過度なダイエットなどが体調や免疫機能に影響を与える可能性はあり、間接的に発症や病状に関わることは考えられます。また、アルコールの過剰摂取や栄養不足は全身の健康状態に影響するため、結果として病気のコントロールに影響することがあります。日常的には、特定の食品を避けるよりも、バランスのよい食事を継続するよう心がけましょう。
喫煙が発症リスクを高めますか?
喫煙は全身性エリテマトーデスの発症リスクや病勢に関与する可能性があるとされています。喫煙によって体内の炎症反応が亢進し、免疫のバランスが乱れることで、自己免疫疾患の発症に影響する可能性が指摘されています。また、喫煙は治療効果を弱める可能性や、動脈硬化を進行させる要因にもなるため、発症後の経過にも影響を与えます。そのため、喫煙習慣がある場合には禁煙を検討することがすすめられます。参照:
『Cigarette smoking and the risk of systemic lupus erythematosus: a meta-analysis』(Arthritis Rheum)
『Systemic lupus erythematosus and cardiovascular disease: prediction and potential for therapeutic intervention』(Expert Rev Clin Immunol)
『Patients with cutaneous lupus erythematosus who smoke are less responsive to antimalarial treatment』(J Am Acad Dermatol)
なぜ全身性エリテマトーデスで多様な症状が現れるのですか?
全身性エリテマトーデスで症状が多様になるのは、免疫の異常が特定の臓器に限らず、全身のさまざまな組織に影響を及ぼすためです。自己抗体が体内で形成され、それが血液の流れに乗って全身に広がり、血管や各臓器に沈着することで炎症が起こります。その結果、皮膚、関節、腎臓、血液、神経など、影響を受ける部位によって異なる症状が現れます。また、同じ疾患であっても患者さんごとに影響を受ける臓器や症状の組み合わせが異なるため、症状の現れ方に幅があることも特徴です。

