これは、結婚を決めた彼の家族へ初めてあいさつをした日の話です。祝福してもらえるはずと思っていたのですが、その日は終始、どこか張り詰めた空気に包まれていました。穏やかに話を進めたい私の気持ちとは裏腹に、価値観や本音がぶつかり合い、まさかあれほど緊張感のある時間になるとは思ってもいませんでした。
彼の姉から突然の質問
食卓を囲み、当たり障りのない会話が続いていたとき、彼の姉が口を開きました。
「ねえ、ちゃんとこれからのこと考えてるの?」
何気なく投げかけられたような言葉でしたが、彼女の視線には逃げ場のない重さがありました。彼は「まあ、なんとかなるでしょ」と笑って流そうとしましたが、姉はすぐに「なんとかなるって何? 具体的にいくら貯金があるの?」と畳みかけます。
姉の言葉で、場の空気は一気に冷え込みました。
祝福ムードを変えた姉のひと言
すると彼の姉は、さらに言葉を続けたのです。
「言っておくけど、こっちは一切金銭的な支援はしないよ。結婚するなら、全部自分たちでやってね」
はっきりとした言い方に、彼は「そんな言い方しなくてもいいだろ」と少し苛立った様子を見せます。それでも姉は一歩も引きませんでした。
そして、「甘い考えのまま結婚するほうが無責任でしょ」と言われた瞬間、祝福の空気はすっかり消えてしまいました。初めて会った私の前で、ここまで踏み込んだ話になるとは思っておらず……。私が彼の家族に言い返すのも違う気がして、私はその場で、ただ見守ることしかできませんでした。

