正確さにこだわらせて時間を使わせる、厳格な指揮系統で意思決定のスピード化を邪魔する…。第二次世界大戦中に米国で作られた“敵組織破壊マニュアル”が日本企業の体質そのものだと、改めて話題を呼んでいる。
この「簡易妨害工作マニュアル」(Simple Sabotage Field Manual)は1944年、CIAの前身にあたる戦略情報局によって作られた。敵国の支配する地域で、訓練された諜報員ではなく一般市民が敵組織に不利益をもたらす方法をまとめているのが特徴で、「負傷、露見、および報復の危険を最小限に抑えた」行動を列挙している。
軍隊にわざと間違い電話をかけて業務を停滞させる、ガソリンに水や尿を混ぜてエンジンを故障させる、トイレを詰まらせるといった、嫌がらせから破壊行為まで記されているが、この文書を有名にしたのは「組織および生産に対する一般的妨害」の項目だ。
正規の手続きに則った行動を求め、意思決定を迅速化させない
個人的意見を長々と演説する
前の会議で決まったことを持ち出して妥当性を再検討させる
重要な作業がある日に会議を開催
比較的どうでもいい製品において完璧な仕上がりを要求する
非効率的な働き方をする人物を昇進させて現場の士気を下げる
不安を煽るウワサをオフィスに広める
身につけたスキルを仕事仲間に教えない
新しい労働者に対して誤解を招く指示を与える
トイレで長い時間を潰す
トイレに忘れ物をして、仕事場に戻ってから取りに戻らなければならないようにする(一部抜粋)
職場の管理者、オフィスワーカー、技師などの立場で行える妨害行為の数々は、現在の職場でも珍しくないものばかりだ。
日本では2015年、帝国データバンクが公式サイトで「組織の壊し方」というレポートを公開。この簡易妨害工作マニュアルを紹介し、レポートの結びに「貴社のなかにCIAのスパイは潜んでいないだろうか。あるいは自身がスパイになっていないだろうか」と警告している。
ネットユーザーの間でも定期的に話題になる簡易妨害工作マニュアルだが今月、「帝国データバンクの面白文書『組織の壊し方』は日本人は必見」とXに投稿されたのを機に「既視感あるなぁ…会議のための会議をやってました」「JTC(旧態依然とした体質の日本企業)あるあるかと思ったら、CIAのスパイによる組織の壊し方マニュアルだった」「日本全体でやってるだろコレ。政治家も含めて」などの意見が集まった。
一方で「この逆を行いをすれば健全な組織になれるのではないか」などと前向きなコメントも見られた。
簡易妨害工作マニュアルは2008年、機密解除された。現在はオンラインで読むことができる。

