腹部エコー検査で見つかる病気や検査後の過ごし方はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が見つかる病気と検査後の対処法について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「腹部エコー検査の注意点」は?当日控えた方が良い服装・行動・食事を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
腹部エコー検査(腹部超音波検査)とは?
腹部エコー検査は、超音波を用いてお腹の臓器を観察する検査です。放射線を使用せず、体への負担が少ないことから、健康診断や人間ドックでも広く行われています。体表から超音波を当て、臓器や血流の状態を画像化する検査で、X線被ばくがなく繰り返し行える点が特徴です。肝臓、胆のう、膵臓、腎臓、脾臓、腹部大動脈、膀胱などを対象に、脂肪肝、胆石、腫瘍、嚢胞、結石、動脈瘤などの有無を確認します。
「腹部エコー検査」で見つかる病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「腹部エコー検査」で発見されやすい病気について解説します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
脂肪肝
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が蓄積した状態を指します。現在は「MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)」という名称が用いられています。腹部エコーでは肝実質がびまん性に高エコーとなり、腎臓より白く見える「肝腎コントラストの増強」が特徴です。進行すると後方減衰が強くなり、血管の描出が不明瞭になります。炎症や線維化を伴う状態はMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎)と呼ばれ、放置すると肝硬変や肝がんへ進展する可能性があります。
胆石症
胆石症は胆汁成分が凝集して結石を形成する病気で、結石が胆のうや胆管内に存在する状態を指します。腹部エコーでは、胆のう内に高エコー構造が認められ、結石の後方に音響陰影(黒い影)が続く所見が診断に有用です。また、結石が移動して体位変換で位置が変わることも観察されます。無症状で経過観察となる場合もありますが、右上腹部痛や発熱、黄疸を伴う場合は治療の検討が必要です。
膵臓がん
膵臓がんは、膵臓の細長い管(膵管)の上皮細胞から発生する悪性腫瘍です。初期には症状がほとんど出ないため、進行するまで気づかれにくいことが特徴です。腹部エコーでは膵実質内に低エコー域として腫瘍が描出される場合がありますが、腸管ガスの影響で描出しにくいことも少なくありません。進行すると腹痛、背部痛、食欲不振、黄疸などの症状が現れることがあり、血液検査やCT・MRIによる精密検査へと進むケースが多いです。
尿路結石
尿路結石は、腎臓・尿管・膀胱に結石が形成される病気です。結石は尿中のカルシウムや尿酸などが凝集して生じ、尿の流れを妨げることがあります。腹部エコーでは、結石が高エコーの点状陰影として描出され、後方に音響陰影を伴うことが典型的です。症状としては、激しい側腹部痛や血尿、吐き気などが多く、発熱や強い痛みが続く場合は緊急対応が必要です。

