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【あしたのパン】ひきたて小麦と自家製酵母が優しく香る、家族の想いが詰まったパン屋さん「太郎山」

【あしたのパン】ひきたて小麦と自家製酵母が優しく香る、家族の想いが詰まったパン屋さん「太郎山」

札幌市清田区真栄の閑静な住宅街を進むと、どこか懐かしく、そして香ばしい香りが漂ってきます。ここに店を構えるのが、今年1月に移転オープンしたばかりのパン屋さん「太郎山(たろうやま)」です。

お店に近づくと、トントン、キュンキュンと、まるで列車に揺られているかのような心地よい小気味いい音が聞こえてきます。その音の主は、年季の入った1台の製粉機。店主の田中賢太郎さんは、自ら小麦をひく「自家製粉」に強いこだわりを持ち、日々パン作りに向き合っています。

「実はこれ、もらい物でかなり古いものなんです。油をさしていないからキュンキュン鳴っちゃって」と、田中さんは照れくさそうに笑います。太郎山では、ライ麦や2種類の有機小麦、自然栽培の小麦、さらには自然栽培の玄米など、厳選した5種類の穀物をブレンド。ひいた穀物をあえて振るいにかけず、丸ごとすべて使うことで、小麦本来の力強い風味と独特の食感を生み出しています。

修業時代に見上げた思い出の山と、こだわり抜いた自家製酵母

「太郎山」という印象的な店名は、田中さんの修業時代に由来しています。かつて長野県上田市にある名店「ルヴァン」で腕を磨いていた田中さん。毎日、外へ製粉作業をしに出るたびに、いつも目の前にそびえ立っていたのが長野県の「太郎山」でした。その思い出の景色と、当時から大切にしてきた志をそのまま店名に冠したのだそうです。

そんな長野での修業時代に身につけたのが、お店のもう一つの命ともいえる「自家製酵母」の技術です。

太郎山の厨房には、いくつかの異なる酵母が大切に育てられています。ドライフルーツのカレンズ(からすのぞき)から起こした酵母は、他の酵母の働きを助けるためにブレンド。また、じっくりと育てられたレーズン酵母は、ライ麦を60%使用したパンに使われ、生地を勢いよく膨らませる力を持っています。さらに、ライ麦から起こした酵母はライ麦100%や60%のパンのベースとなり、小麦粉から起こした酵母など、パンの個性を最大限に引き出すために巧みに使い分けられています。

迫力満点の看板メニュー「カンパーニュ」と、驚きの「玄米キッシュ」

お店の圧倒的な自信作であり、常連客からも絶大な支持を集めているのが「カンパーニュ」です。

一見すると、その大きささと力強い焼き色に「少し硬くて食べにくそうかな?」と感じるかもしれません。しかし、ひとくち口に運べばその印象は鮮やかに覆ります。外側の皮はパリッと香ばしく、中は驚くほどもっちりとした質感。噛みしめるほどに、自家製粉ならではの豊かな小麦の香りと、自家製酵母と発酵が醸し出す特有の芳醇な香りが広がり、心地よい酸味が全体の味を引き締めています。

訪れた常連のお客さんも「口元に持ってきたときの香りが本当に素晴らしくて、外のパリッと感と中のモチモチ感が大好きです。良い素材を使っているので安心して食べられます」と太鼓判を押します。

さらに、お店のもう一つの顔として人気を集めているのが、個性派メニューの「玄米キッシュ」です。

田中さんが修業時代から信頼を寄せる栃木県の生産者が、自然栽培で育てた50種類以上もの玄米を、キッシュの生地にこれでもかと詰め込んでいます。仕上げにチーズをかけて焼き上げることで、まるで濃厚なチーズリゾットを食べているかのような、プチプチとした楽しい食感と深い味わいが堪能できる一品です。

配信元: SODANE