結婚生活の中で、夫婦仲が冷え切ってしまったとしても、家庭の形を維持することが親の責任だと考える方は少なくありません。自分の感情に蓋をして過ごす日々の先にある景色は、どのようなものなのでしょうか。今回は、筆者の知人の体験談をお届けします。
仮面夫婦を演じ続けた15年
結婚5年目を過ぎたころから、夫との仲は冷め切っていました。
価値観の違いや、実家同士の揉め事など、理由はたくさんありますが、お互いにもう愛情がなくなっていたのは明白です。
離婚も考えたのですが、幼い娘のことを思うとどうしても踏み切れませんでした。
夫とは必要最低限の会話だけを交わし、食卓では無理に笑う日々……。
「娘が成人するまでは」と心に決め、夫との冷え切った関係を隠し続けて15年。
娘の前では、必死に「仲の良い両親」を演じていました。
それが親として正しい選択なのだと、ずっと思い込んでいたのです。
娘の切ない本音
転機は娘の結婚が決まったときでした。
お祝いムードの中、娘がふと私に言ったのです。
「お母さん、長いあいだずっと無理して笑ってたでしょ。私のために我慢しないでほしかったな」
言葉を失いました。
夫婦の不仲や自分の気持ちは必死で隠してきたつもりでしたが、娘の目には「お母さんの犠牲」と映っていたのです。
良かれと思っていたことが、本当は娘を苦しめていたのかもしれない。そう思った瞬間、胸が苦しくなりました。

