●「関係者差別」という問題提起
原告代理人の韓泰英(ハン・テヨン)弁護士は、一連の投稿について「マイノリティの尊厳を奪う人種差別であるだけではなく、『関係者差別』である」と指摘した。
「マイノリティへの人種差別を止めようと思えば、弁護士が弁護団に参加することもあります。しかし、差別を受けている側に立っただけで、自身も差別されるという空気が存在します。それは許されないことであり、議論を確立する必要があると考え、『関係者差別』という表現を使いました」
近畿大学人権問題研究所の李嘉永(リ・カヨン)准教授によると、関係者差別とは「被差別当事者と何らかの関係があることを理由としておこなわれる差別」を指すという。
たとえば、いじめられている人をかばった結果、自分もいじめの対象になる──。その構造と重なる側面がある。
もっとも今回、日本クルド文化協会の弁護団全員が、同様の攻撃を受けたわけではない。
師岡康子弁護士や神原元弁護士は、自身について「反日」などとする投稿は確認されなかったと説明した。
そのうえで師岡弁護士は、金弁護士が在日コリアンであり、朝鮮学校に通っていた経歴から、「北朝鮮人」「朝鮮系左翼弁護士」などの中傷の標的になったのではないかとの見方を示した。
●「脈々と続いてきた差別」
弁護団の宋恵燕(ソン・ヘヨン)弁護士も、マイノリティへの差別を止めようと活動したことで、大量の懲戒請求を送り付けられた経験を語った。
宋弁護士は2017年ごろ、あるブログ内の「反日リスト」に氏名や事務所の連絡先を掲載された。川崎市でのヘイトデモ差し止めなどに関わったことをきっかけに、別の在日コリアン弁護士とともに、約1万通の懲戒請求を受けたという。
その後、懲戒請求者らを相手取った民事訴訟を起こしたが、最高裁判決が出るまで、実に8年もの時間を要した。
「私は原告ではあっても怖かった。金弁護士のように記者会見をすることもできませんでした。この8年間、息をひそめるように、拡散された情報を消したり、事務所のホームページから顔写真を削除したりしてきました」
「全国から懲戒請求が届いたので、正面から戦うことができませんでした。しかし、法的措置を取ることで、『ただでは済まさない』というメッセージにはなったと思います」
そのうえで宋弁護士は今回の裁判についてこう語った。
「金弁護士の裁判は単体のものではなく、脈々と続いてきた民族差別のひとつだということを、ぜひ理解してほしいと思います」

