友人のしあわせをこわすことができなかった
優菜の顔は、希望にみちあふれている。
つわりが始まっているのか、時折、くるしそうにしながらも、おなかをさする手はとてもやさしかった。
「博嗣さんもすごくよろこんでくれて…これからは僕がもっとしっかりして、2人を支えるからって…。本当に、彼と結婚してよかった」
そんな彼女に、「ご主人がマッチングアプリで私に"いいね"してきたよ」なんて、言えるはずがない。
(もし今、真実を伝えたら…彼女のしあわせも、おなかの赤ちゃんの平穏も…すべてこわれてしまう)
「おめでとう、優菜……。本当によかったね」
私はそう言うのがせいいっぱいだった。
そして、そんな博嗣さんからの通知を知らせるスマホが、バッグの中でちいさくふるえていた。
あとがき:理想のうらがわに潜むワナ
信じていた日常が、ある日突然、くずれさる……。そんな背筋の凍るような経験、「もし自分だったら」と想像せずにはいられません。
しあわせの絶頂にいる親友を前に、残酷な真実を飲み込んだ紀子。葛藤に胸が締め付けられる思いですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

