「トイレでスマートフォンをいじっていたらかなり時間が経っていた」「排便しづらくていつもいきんでしまう」という経験のある人は少なくないでしょう。米国消化器病学会(AGA)は、痔の診断と治療に関する最新の研究結果を発表しました。その結果、食物繊維の摂取や排便習慣の改善、トイレに長居する習慣の是正などが有用であることが改めて示されました。この内容について田中先生に伺いました。

監修医師:
田中 茉里子(医師)
・弘前大学医学部卒業 ・現在は湘南鎌倉総合病院勤務 ・専門は肝胆膵外科、消化器外科、一般外科
研究グループが発表した内容とは?
編集部
米国消化器病学会(AGA)が発表した内容を教えてください。
田中先生
米国消化器病学会(AGA)は、痔の診断と治療に関する最新の専門家レビューを発表しました。便秘は以前からいぼ痔(痔核)の発症に関係すると考えられており、大規模な研究でも、排便時に強くいきむなどの便秘症状が、痔核のリスクを高めることが確認されています。また、進行痔核の患者さんを対象とした研究では、「トイレに長時間座らない」「いきみを避ける」「十分な食物繊維を摂る」などの生活習慣の見直しによって、出血や脱出(痔が外に出る状態)の改善がみられました。
また、ビデの使用によって清潔を保ちやすくなり、トイレットペーパーによる刺激が減ることで、かゆみの軽減につながる可能性も指摘されています。
テーマになった疾患とは?
編集部
今回のテーマに関連する痔について教えてください。
田中先生
痔には、いぼ痔、切れ痔(裂肛)、あな痔(痔ろう)がありますが、最も多いのはいぼ痔です。いぼ痔は、便秘や下痢、排便時の強い「いきみ」などによって、肛門の密閉機能を支える「肛門クッション」がうっ血して生じます。いぼ痔には、直腸側にできる「内痔核」と肛門側にできる「外痔核」があり、できた場所によって症状や治療法が異なります。内痔核は初期であれば、生活習慣の改善や市販薬などによる保存療法で改善が期待できますが、進行すると痔核が肛門の外へ脱出し、手術が必要になることもあります。
便秘や下痢にならない食生活を心掛け、便座に長時間座らない、排便時に長時間いきまないなど、日頃から排便習慣を見直し、気になる症状があれば早めに受診して治療につなげましょう。

