"泥沼"に足を踏み入れようとしている
「なんで…いまさら? 連絡取ってたの?」
「SNSとLINEはつながってたんだけど…この前、急に向こうから連絡が来たの。"ひさしぶりに顔が見たくなった"って」
奈々はスマホをにぎりしめ、少し不安そうに、でもうれしそうに語りはじめた。
「最初は近況報告だったんだけど、最近、毎日LINEが来るの。夫とは最近、業務連絡ばっかりで…。でもマサさんはちがう。 "奈々は今日、何してた?"とか、"がんばってるね"って…私自身を見てくれる感じがして…」
いやな予感がする。
「マサ」という男は、奈々が既婚者で子持ちであることを知っている。その上で、主婦の心のすき間に入り込もうとしている。
「奈々、それって……」
「わかってる! 不倫なんて最低だって。でも、彼、言ってくれるの。"子どもも一緒にしあわせにする" "責任を取って、しっかり養う"って……」
マサのあまい言葉の数々に、奈々は完全に「沼」に足を踏み入れていた。
一途な彼女だからこそ、一度火がつくと止まらない…。私はこの時、奈々のひとみのおくにある危うい熱に、つよい不安を覚えずにはいられなかった。
あとがき:不倫という、あまい「毒」
「あの人だけはだいじょうぶ」と思っていた親友の変貌ほど、おそろしいものはありません。不倫を誰よりもきらっていた奈々が、なぜマサの誘惑に落ちたのか…。
それは彼が彼女の「承認欲求」を巧みに突いたからです。「母親」や「妻」という役割につかれ、「一人の女性として見てほしい」…そんな心のすき間にすべり込むあまい言葉は、劇薬のように一途な女性をくるわせます。
静香が感じたのは、平穏な日常がこわれる予兆だったのかもしれません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

