菅田将暉主演ドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系、2022年)は、『君といた夏』(フジテレビ系、1994年)以来、なんと27年ぶりの月9出演作だった。
今、かつてのアイドル的トレンディドラマ俳優がいい味を出している。“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。
筒井道隆はなぜ懐かしい俳優なのか?
いわゆる、トレンディドラマ俳優というのは、すぐさま懐かしさと結びつく。放送当時に流行したドラマ作品の、トレンディな出演俳優だったからだが、その中でも特に筒井道隆はなぜか懐かしい俳優だなと思ってしまう。現在でも出演作を重ねているというのに、これは不思議だ。
トレンディドラマ俳優としての筒井道隆が、それだけ圧倒的な存在感だったからだろう。
1993年、最高視聴率30%以上を誇る名作ドラマ『あすなろ白書』(フジテレビ系)では、石田ひかり演じる主人公・園田なるみが静かな恋心を寄せる、大学の同級生・掛居保を演じた。
やさしげでやわらかな雰囲気は、妙に包容力があって、視聴者をとろかすアイドル的魅力があった。
キュートな表情と声色、長身のバランスも武器に、三谷幸喜脚本ドラマ『王様のレストラン』(フジテレビ系、1995年)と『総理と呼ばないで』(フジテレビ系、1997年)では一見、頼りないかのようで正義感にあふれる役柄を得意とした。
近年のターニングポイント的作品だったラブコメ映画
俳優デビュー作は1990年公開の主演映画『バタアシ金魚』だった。高校の水泳部を舞台に青春の一コマが描かれる同作ワンショット目、筒井演じる主人公カオルが教室の窓から長い腕を突き出して居眠りする、ぼへっとした顔を捉えた。さらに後続場面では屋上に寝そべり、これまた長い左脚を下に向けて(ほとんど直角に)だらり。
何とも脱力したスタイルだが、それがその後のトレンディドラマでの、あのゆるい雰囲気につながっている。ちょうど25年後の公開作『深夜食堂』(2015年)は、『バタアシ金魚』と同じ松岡錠司監督作品で、時を経て熟成された味わいを醸した。
では、近年の出演作からターニングポイント的作品を一つ挙げるとするなら、吉沢亮主演のラブコメ映画『ママレード・ボーイ』(2018年)になるだろうか?
少女漫画を原作とする、いわゆる“きらきら映画”だが、物語に保護者が直接介入しない(ことが多い)このジャンルで、珍しくかなり介入してくる保護者役の一人を筒井が演じたことが興味深い。

