痛風は、発作が起きたときの強い痛みが注目されやすい病気ですが、大切なのは発作を繰り返さないように予防していくことです。痛風の背景には尿酸値の上昇があり、発作がない時期でも身体の中では再発につながる状態が続いていることがあります。そのため、痛みが治まっているからといって安心するのではなく、日頃の食事や生活習慣を見直し、必要に応じて薬による管理も続けることが重要です。ここでは、痛風予防の基本的な考え方、食事や生活習慣で気を付けたい点、服薬による再発予防について解説します。

監修医師:
居倉 宏樹(医師)
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
痛風予防の基本的な考え方

痛風の発作はセルフケアで予防できますか?
ある程度は可能です。痛風は尿酸値が高い状態が続くことで起こりやすくなるため、水分をしっかりとること、飲酒を控えること、体重管理を意識すること、食生活を整えることは予防につながります。特にアルコールの飲みすぎや脱水は発作のきっかけになりやすく、肥満や生活習慣病が重なると再発しやすくなります。
どの程度の尿酸値を目標にすべきですか?
一般的には、血清尿酸値を6.0mg/dL未満、国内のガイドラインでは6.0mg/dL以下に保つことが目標とされています。これは国際的にも広く採用されている考え方で、尿酸を下げる治療では、この目標に向けて薬の量を調整していく方法が行われます。さらに、痛風結節がある場合や発作を何度も繰り返している場合は、より低めの目標を考えることもあります。参照:『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』(日本痛風・核酸代謝学会(日本痛風・尿酸核酸学会)
発作がないときでも予防は必要ですか?
はい、必要です。痛風は、痛みがない時期にも尿酸の結晶が関節や身体の中に残っていることがあるため、発作が治まっている間こそ再発予防を考えることが大切です。そのため、発作がない時期でも、食事、飲酒、水分、体重管理を続けることに加えて、必要な方では尿酸値を下げる治療を継続するようにします。
痛風を食事で予防する方法

痛風の原因になる成分を教えてください
食事でまず意識したいのは、プリン体、アルコール、果糖の多い飲み物や食品です。プリン体は体内で分解されると尿酸になり、尿酸が増えすぎると関節の中で結晶となって痛風発作につながります。赤身の肉、内臓肉、いわしやさばなどの魚介類の一部は、プリン体が多い食品として知られています。加えて、砂糖入り清涼飲料や果糖ぶどう糖液糖を多く含む飲み物も尿酸値を上げやすく、痛風のリスクを高める要因です。アルコールも尿酸値に影響しやすく、特にビールや蒸留酒の飲みすぎはリスクを高めます。ただし、痛風は食事だけで決まる病気ではありません。体質、腎機能、肥満、脱水、生活習慣病、薬の影響なども関わるため、食事だけを極端に制限すればよいわけではありません。とはいえ、尿酸値を上げやすい成分を知っておくことは、再発予防のために重要です。
痛風を防ぐために避けた方がよい食べ物や飲み物を教えてください
まず控えたいのは、レバーなどの内臓肉や魚卵、一部の青魚や貝類、肉の食べすぎです。完全に禁止するというより、量や頻度を見直すことが大切です。肉類ではレバーなどの内臓が特にプリン体が多く、魚介類ではいわし、あんちょび、さば、貝類の一部などは摂りすぎに注意したい食品です。飲み物では、ビールをはじめとするアルコールと、砂糖入りの炭酸飲料やジュースを控えめにするようにしましょう。アルコールは尿酸を増やしやすいだけでなく、脱水も招きやすいため、発作のきっかけになりえます。糖分の多い飲み物、特に果糖ぶどう糖液糖を多く含む飲料も痛風リスクを高めます。逆に、糖質ゼロの炭酸飲料が健康飲料になるわけではありませんが、少なくとも砂糖入り飲料よりは尿酸の面で不利になりにくいと考えられます。
また、短期間で体重を急に落とそうとする無理な食事制限も、かえって尿酸値を不安定にすることがあります。痛風予防では、食べてはいけないものを増やすより、食べすぎを避け、飲酒と甘い飲み物を見直し、続けやすい食事に整えることが大切です。
尿酸値を下げる効果が期待できる食べ物や飲み物はありますか?
特別な食品だけで尿酸値を大きく下げられるわけではありませんが、低脂肪の乳製品、水分、バランスのよい食事は痛風の予防に取り入れやすい選択肢です。低脂肪乳やヨーグルトなどの乳製品は、痛風リスクを下げる方向に働く可能性があり、予防的な食事としてすすめられることがあります。水分を十分にとることも、尿酸を身体の外へ出しやすくする助けになります。そのほか、コーヒーやさくらんぼは、痛風リスクを下げる可能性がある食品として挙げられることがあります。ただし、これらを食べたり飲んだりすれば痛風が治るわけではなく、あくまで食事全体の一部として考えましょう。大切なのは、野菜や低脂肪乳製品などを取り入れながら、アルコールや甘い飲み物、食べすぎを見直すことです。
参照:『Role of Diet in Hyperuricemia and Gout』(Best Pract Res Clin Rheumatol)

