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【闘病】「私が病気なわけない」 胃痛を放置した結果、大腸や小腸が変形する『腸の難病』に

【闘病】「私が病気なわけない」 胃痛を放置した結果、大腸や小腸が変形する『腸の難病』に

激しい胃痛や下痢を「ただの不調」と放置し、27歳で倒れて難病「クローン病」と診断された鈴木さん(仮称)。管理栄養士ゆえに過酷な食事制限を瞬時に理解し絶望するも、大学病院で前例のない出産を無事に経験。産後の悪化による救急搬送など壮絶な日々を経て、現在は毎日の鎮痛剤に耐えながら、息子のミニバス指導に情熱を注いでいます。「自分は大丈夫」と過信しない早期受診の大切さを訴える闘病の軌跡です。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2024年3月取材。

※この記事はメディカルドックにて《【闘病】「胃薬飲めば大丈夫」と言われ症状を放置してしまった… 『クローン病』》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

鈴木恵子さん

体験者プロフィール:
鈴木 恵子(仮称)

30代女性。主に男性が発症するというクローン病を20代で発症。女性患者の前例がほとんどない中、結婚、妊娠し、無事、健康な男児を出産。産後、体調が悪化し、仕事を辞めることとなる。出血多量でショック状態になり、何度も救急搬送された。半年の絶食治療を経て、日常生活に復帰するも、毎日痛み止めの注射を打ち、疼痛コントロールしながら生活している。

「私が病気なわけがない」と思い込んでいた

「私が病気なわけがない」と思い込んでいた

編集部

最初に不調や違和感を感じたのはいつですか?

鈴木さん

激しい胃痛に体重減少、下痢、腹痛。今思い返すと、症状は2006年ごろから出ていたと思います。当時大学2年生で、大学生活やバイトを楽しんでいた私は、まさか病気だとは思わず、「お腹でも壊したのかな……」くらいに考え、町医者で胃薬を出してもらっていました。薬を飲んでも多少改善するだけで完治はしませんでしたが、そのころは毎日が楽しく、そのうち治るだろうと思っていました。

編集部

悪化することはなかったのですか?

鈴木さん

大学を卒業し、社会人になったのが2008年。希望通りの会社に入れて満足していました。希望とは別の部署でしたが、それなりにやりがいを感じながら楽しく過ごしていました。さらに2013年4月、密かに勉強していた情報処理試験の難関科目に合格し、それが評価されて、希望の部署に異動することもできたのです。その間も症状はずっと続いていましたが「私が病気なわけがない」と思い込み、町医者でも「胃薬を飲めば大丈夫」と言われていたので安心していました。そのころには、痛みや下血もするようになり、ひどい貧血症状も出始めていましたが、騙し騙し生活するのが当たり前になっていました。

編集部

受診から、診断に至るまでの経緯を教えてください。

鈴木さん

2013年6月、27歳の時に、市内の大きな病院を受診しました。そのころの私は、仕事も希望の部署に異動になり、仕事はやる気満々。運動神経が良いところが社内の野球部員の目に留まり、野球未経験者ながら野球部に入って、業務外でも楽しく過ごしていました。あるとき、野球の大会で優勝し、その賞金で焼肉の食べ放題に行きました。その夜に今までにないくらいの激しい腹痛、41度の熱で寝ることができませんでした。翌朝には全ての症状が落ち着いていたのですが、その様子を見ていた親に「さすがにおかしい」と、入院施設がある大きな病院に連れて行かれることになりました。

編集部

そこでクローン病がわかったのですか?

鈴木さん

最初の問診で、医師から「クローン病の疑いがある」と告げられました。あれよあれよという間に、採血、採尿、造影CT、点滴の検査・処置が行われ、気がついたら夕方になっていた感じです。一般診療が落ち着いたころ、医師から検査結果の説明がありました。「おそらくクローン病だろうから、明日、胃カメラと大腸カメラを行う」とのことでした。翌朝、検査を受けた結果、即入院となりました。ただ、その病院には常勤の消化器内科医が1人しかいないとのことで、県で1番大きい大学病院のベッドが空き次第、転院すると言われました。ベッドが空くまでの1週間、点滴のみで栄養を補給し、食べ物・飲み物をいっさい口にできませんでした。翌週、大学病院に移り、もう一度詳しい検査をするとのことで、採血、採尿、胃カメラ、大腸カメラ、小腸内視鏡、造影CTを再度受けました。結果はやはりクローン病。そこから約2ヶ月入院することとなりました。

編集部

告知はどのような形でしたか?

鈴木さん

両親とともに、ナースステーションでパソコンで検査画像を見せてもらいながら説明を受けました。この時は、現実を受け入れられず、半分パニックになっていたと思います。泣きながら話を聞いていた記憶しかなく、何を説明されたのかは覚えていません。大学病院では、まずは私が1人の時に主治医が部屋に訪れ「クローン病で間違いない」と言われました。その後、母が呼ばれ、詳しい説明を2人で聞きました。現在の状況、治療方針、これからの生活について、一通り説明を受けた記憶があります。この時は、ある程度の気持ちの整理がついていたので、落ち着いて聞いていたと思います。

編集部

受け入れるのには時間がかかりますよね。

鈴木さん

私は大学で管理栄養士の資格を取っていたので、クローン病という名前を聞いて、難病であることや食事制限が必要であることは瞬時にわかりました。詳しい説明を聞く前に、自分がどうなっていくのかが分かってしまっていた分、普通の人より早く絶望感を味わうことになってしまったのかもしれません。

まさか自分の栄養指導をするとは

まさか自分の栄養指導をするとは

編集部

どんな病気なのでしょうか?

鈴木さん

クローン病は、炎症性腸疾患の一つです。口から肛門まで、どの消化器にも炎症が起きる病気で、原因がある程度は分かっていても、完全には解明できておらず、治るものではありません。悪い状態から寛解の状態に持っていくのを目標とする病気です。10代の男性での発症例が多いのですが、私は27歳で分かりましたし、女性ということで、珍しいと言われました。

編集部

どのように治療を進めていくと医師から説明がありましたか?

鈴木さん

方法は大きく分けて2つとのことでした。1つは手術を受け、炎症がひどいところを切る。そして、人工肛門を造る方法。もう1つは、薬物療法で、できるだけ寛解の状態に持っていけるようにすること。ただ、手術をしても、薬物療法は一生続けなければならないし、手術をしたからといって、新たな炎症が起きないとも限らないとのことでした。家族と相談して、手術は最終手段として、まずは薬物療法での治療を選択しました。

編集部

そのときの心境について教えてください。

鈴木さん

手術はできるだけしたくないという想いがあったので、薬物療法で治療ができるならそちらを選択したいと自分でも思っていましたし、親戚に医者が5人いるので、相談もしました。日本で有数のクローン病に詳しい先生と言われている医師にセカンドオピニオンもいただき、「今の段階では薬物療法が望ましい」との意見もいただいたので、薬物療法の選択に迷いはありませんでした。

編集部

実際の治療はどのようにすすめられましたか?

鈴木さん

化学療法を開始すると、みるみる状態が良くなりました。炎症もおさまり、食事の許可が出ました。しかし、食事は腸への刺激になるので、食事をしてはまた熱を出し、絶食。安定したらまた食事を再開するといったことを何度か繰り返して、かなり食事制限があったものの、2ヶ月で退院することができました。

編集部

受診から治療、現在に至るまで、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。

鈴木さん

2014年に結婚し、2015年に男の子を出産したことです。この病気は女性の症例が少ないこともあり、大学病院でも、クローン病患者の出産は前例がなかったようです。そこでは「妊婦の時は比較的症状が安定し、産後に悪化するだろう」とも言われました。分からないことだらけの妊娠生活で、何かあった時の対応ができないとのことで、大学病院で出産しました。幸い、子どもは元気で異常無し。すくすく育っていきました。

編集部

ご自身に影響はなかったのですか?

鈴木さん

私はと言うと、先生に言われていた通り、産後に悪化し、直腸に潰瘍がたくさんできてしまいました。動脈が切れて、何度も救急搬送されるという生活が5年ほど続きました。救急車もそれぞれ管轄があるので、自宅で呼んだ時は市内の病院に搬送されるのですが、私の場合、市外にある大学病院でしか対応できません。ですので、私が救急車を呼んだ時は、市を越えて離れた大学病院へ搬送してもらうよう、消防署へ予めお願いしていました。動脈出血で運ばれると、大腸カメラで確認し、すぐに止血術が行われます。そして、出血性ショックになってしまうので、輸血が行われました。ただ、炎症はストレスなども原因になりますが、食事による影響が大きく、絶食治療を半年続け、ある程度の寛解状態にまでは戻すことができました。

編集部

病気になって感じたことを教えてください。

鈴木さん

まず、病気になったのが自分で良かったなと思いました。この病気は一生続くし、激しい痛みも伴います。私は家族が辛い思いをしているのを見るくらいなら、自分が背負えば良いと思いました。見ていて辛くなると思ったからです。この病気は食事制限があるので、食べたいものをいつでも食べられるわけではありませんが、状態が良い時は、少し食べることはできます。自分で調整すれば良いので、管理栄養士の資格があって良かったと思います。当時は、まさか自分の栄養指導をすることになるとは思ってもいませんでしたが。

配信元: Medical DOC

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