架空の美女「リナ」になりすまし、夫の「裏アカ」に接触した聡美。夫はわずか5分で食いつき、「妻を女として見れない」と、最低な本音を吐露する。次々とおくられてくる卑猥な証拠を、聡美は冷徹に、着々とクラウドへと保存していく。
架空の人物で夫に近づく作戦
翌朝、茂樹は何食わぬ顔で「いってきまーす」と太陽の頬にキスをして出かけて行った。
その唇が、昨夜見たDMの卑猥な言葉を紡いでいたと思うと、ゾッとして鳥肌が立つ。
「パパいっちゃったね」
「そうだね、太陽。パパはお仕事がんばるんだって」
太陽を抱きしめながら、私は冷徹なまでの決意を固めていた。
まずは敵を知ること。私は自分専用のタブレットを取り出し、架空の女性「リナ」として"裏アカウント"を作成した。
アイコンはネットで見つけた顔の映っていない、露出度の高いフリー素材。プロフィールには茂樹が好みそうな「年下の寂しがり屋」を装った。
茂樹のアカウントを見つけ、フォローを入れる。すると、わずか5分でDMが届いた。
「フォローありがとうございます! リナさん、お近くなんですね。良かったら仲良くしませんか?」
あまりの反応のはやさに、思わず乾いた笑いが出てしまった。
忙しいはずの夫とのやり取り
(仕事がいそがしいんじゃなかったの?)
私は「リナ」になりきって返信した。
「DMうれしいです! 私、ヒミツの関係にあこがれてて…。しげさんは経験豊富なんですか?」
「まあ、それなりに…(笑) でも、リナさんみたいなかわいい子、放っておけないな。今度、ゆっくり会って話しませんか? ホテルとかで」
(まだ一通目でこれか…)
さらに私は核心にふれた。
「しげさんって、独身なんですか? 私は実は…ちょっとワケありで」
「実は僕も既婚なんだけど、家庭では居場所がなくてさ。リナさんみたいな理解してくれる人がほしいんだ。妻のことはもう女性として見れなくて」

