早い帰宅
しばらくして、お嫁さんが予定より早く帰ってきました。
「泣いていたらいけないと思って」
そう言いながら、急いで戻ってきてくれたのです。
お嫁さんが抱き上げると、孫は安心したように泣き声を弱め、ぎゅっとしがみついていました。
その様子を見てAは、「この子、普段からママしか頼れないんじゃ……」と感じたのです。
その夜、Aは息子と話しました。
「お嫁さんが入院でもしたらどうするつもり?」「お嫁さん一人にまかせっきりなの?」
すると息子は少し黙ったあと「俺が抱いても泣くだけだから」と、小さな声で答えます。
Aは思わず「あなたに慣れていないから泣くのよ!」と返しました。
すると息子は「一緒にいれば親の役目を果たしていると思っていた」と、小さくつぶやいたのです。
その言葉を聞いたAは、息子は「そばにいるだけで父親になれる」と思い込んでいたのだと気づきました。
親になる
Aはその言葉を聞きながら、なんとも言えない気持ちになりました。
血がつながっているだけで、自然に父親になれるわけではない。
ちゃんと関わり、見守り、愛情を積み重ねてこそ、親になっていくのかもしれません。
子どもは、誰が自分を見てくれているのかをちゃんとわかっている。
だからこそAは、そのことをしっかり息子へ伝えたいと思ったのです。
【体験者:50代・女性主婦、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:Kiko.G
嫁姑問題をメインテーマにライター活動をスタート。社宅生活をしていた経験から、ママ友ネットワークが広がり、取材対象に。自らが離婚や病気を経験したことで、様々な悩みを持つ読者を元気づけたいと思い、自身の人脈や読者の声を取材し、記事として執筆。noteでは、糖尿病の体験記についても発信中。

