胃がん検診を受ける際には、前日からの正しい準備がスムーズな検査の鍵となります。メディカルドック監修医が、前日の食事・水分制限のルールから、当日の受付・検査の具体的な流れ、終了後の過ごし方までを分かりやすくまとめました。
※この記事はメディカルドックにて『「胃がん検診の費用はいくら」なのか?検診当日の流れなどを医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
胃がん検診とは?
胃がんは、胃の内壁に存在する細胞が何らかの原因によって、がん化する事で発生するといわれています。
胃がんと診断される方は多く、毎年約10万人近くが診断されています。その人数は、部位別で見ても、大腸・肺に続いて3番目に多いがんとなっています。男女比を比較すると、男性の方が女性より発症しやすいという特徴があります。
胃がんは初期症状が乏しく、進行しても自覚症状がほとんどないことがよくあります。
そのため、定期的に胃がん検診を受けることで、早期の発見と治療を行うことができます。
胃がんの発見に効果的な胃がん検診ですが、主に以下のような検査が行われます。
胃部X線検査(バリウム検査)
胃にバリウムと、空気で胃を膨らませる薬である発泡剤を飲み、胃の壁にバリウムを付着させた状態で胃の形や影を確認します。
胃部X線検査は、胃がんだけでなく、胃潰瘍や胃ポリープなどの異常も判定できることもあり、広く実施されている一般的な方法です。
胃内視鏡検査(胃カメラ)
小型のカメラを装着した直径5~10mm程度の細い管を口または鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の状態を直接観察する検査です。
胃内視鏡検査では、粘膜の少しの変化も見えることから、早期発見に有効的な方法です。また、異常が見つかれば、病変の一部を採取して顕微鏡で詳細に調べる「胃生検」を行う場合もあります。
国の指針では、市町村が実施する胃がん検診は、50歳以上を対象に2年に1回、胃内視鏡検査または胃部X線検査(バリウム検査)のいずれかを行うことが推奨されています。
胃がん検診前日や当日の流れ・注意点
基本的な胃がん検診前日や当日の流れは以下のようになり、それぞれ注意点があります。
胃がん検診前日の注意点
胃がん検診を受ける前日は、以下の注意点を守ることが重要です。
・食事制限:
前日の夕食は20時までに済ませ、21時以降は食事を摂らないようにします。食事内容も消化の良いものにしましょう。ワカメなどの海藻、こんにゃくなどは消化が遅いため、できる限り避けましょう。
・水分摂取:
前日の水分制限はありません。しかし、食事制限がかかる20時頃からは、ジュース・コーヒー・牛乳などのように、色のついた飲み物の摂取は避けましょう。当日の検査の際に観察の邪魔になってしまう可能性があるためです。
・飲酒の制限:
アルコールは胃の粘膜を刺激したり荒らしたりする可能性があり、検査結果に影響を及ぼす可能性があります。原則としてアルコール類の飲用は避ける必要があります。
胃がん検診当日の流れ
検診当日は、以下の流れで進行します。
①受付:
医療機関に到着したら、受付を行います。
②問診:
検診を安全に受けられる状態であるかを判断するため、受診票の記載とスタッフからの問診を受けます。
③検査準備:
検査の準備は、内視鏡検査・バリウム検査のどちらなのかによって異なります。
内視鏡検査の場合は、胃をきれいにするための消泡剤を飲みます。その後、口から入れる経口内視鏡の場合は麻酔薬をのどにためた後に、ゆっくり飲み込みます。一方、鼻から入れる経鼻内視鏡の場合は鼻の通過を良くする薬を使用して麻酔します。
バリウム検査の場合は、発泡剤を飲み、続いてバリウムを摂取します。
④検診を実施:
内視鏡検査の場合は、胃カメラで撮影し、バリウム検査の場合はX線撮影して胃の状態を詳しく観察します。
⑤検査終了後:
胃カメラの検査後は、鎮静剤の影響が残る可能性があるため、車の運転は避けましょう。また、飲水、飲食は経口内視鏡では1時間後、経鼻内視鏡では30分程度で摂取できるようになりますが、当日の激しい運動、長時間の入浴などは避けるようにしましょう。
また、検査の際に組織を採取した場合は、運動と飲酒は1日禁止となります。
バリウム検査の場合は、特に制限はありませんが、下剤を服用するため、急な便意には注意しましょう。
胃がん検診当日の注意点
胃がん検診当日には、以下の注意点を守るようにしましょう。
・絶食:
検査当日は朝食だけでなく、200mL以上の水分を摂取した場合は、検査を受けられない場合があります。また、水を飲んでから2時間経過するまでは検査を受けられない場合もあるため、注意しましょう。
・服装:
胃がん検診の当日の服装は、ボタンやファスナー、金具などが付いていない締め付けない服装を選ぶことで、検査中の快適さが保たれます。
・健康状態:
検診当日の体調が優れない場合は、検査を受けられない場合があります。その他にも、過去にアレルギー反応を示したことがある、最近手術を受けた場合などは検診を受ける前に医師に相談することが重要です。

