食道がんの治療法はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が食道がんの治療法について解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。
※この記事はメディカルドックにて『「げっぷが続く」のは「食道がんの初期症状」?進行すると現れる症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
食道がんとは
食道がんは食道の内側粘膜の表面にでき、食道のあらゆるところにできる可能性があります。発生箇所は食道の中央付近が多く、約半数が該当するようです。さらには同時に複数箇所にできることもあります。
食道は内側から粘膜・粘膜下層・固有筋層・外膜と重なった構造です。粘膜に生じたがんは徐々に食道の表面へと広がっていき、これを浸潤と呼びます。
粘膜内にとどまっているがんは早期食道がん、粘膜から粘膜下層にあるがんは食道表在がんです。食道表面から周囲の臓器へ広がることもあり、これを転移と呼びます。
食道がんの治療法
食道がんには複数の治療法があります。それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあることをご存知でしょうか。治療法を詳しく解説しましょう。
内視鏡切除
食道の内側からがんを切除するには、かつてはEMR(内視鏡的粘膜切除術)が行われていましたが、現在では大半がESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)で行われています。EMRは、小さながんに対して行われることが多く、ESDはより大きな病変にも適応されるため、標準治療として普及しています。
EMRの弱点は以下のとおりです。
切除できる大きさに限界がある
分割切除も少なくない
がんの進行度の正確な評価ができない
がんが残ったり、本来は追加手術するべき病変をそのままにしたりすることで再発を招いていました。EMRの弱点を克服した治療法が、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)です。国が認めた保険治療として現在では標準的に行われています。
ESDが保険収載された年は以下のとおりです。
胃で2006年より保険収載
食道で2008年より保険収載
大腸で2011年より保険収載
手術
がんの発生部位と進行度により手術方法が違います。がんが小さい場合は食道を残し、大きい場合は食道切除とともに胃や腸を使って食物が通る新しい通路を再建する再建手術を行うのが特徴です。
以下にがんが大きい場合の手術の例を挙げます。
頸部食道がん:のどや食道すべてを一緒に切除する手術です。再建には小腸の一部や胃を使います。
胸部食道がん:胸部食道全部と胃の一部を切除すると同時に頸部・胸部・腹部などのリンパ節郭清が必要です。再建は胃と頸部食道をつなぎ、胃が使えないケースでは大腸や小腸を使います。
食道胃接合部がん:食道下部と胃の上半分または胃の全部を切除する手術です。食道の再建には残った胃・小腸・大腸を使います。
バイパス手術:食道が塞がって食物が通らない場合に、食事を可能にする手術です。食道を残して胃や腸を使って頸部の食道から胃までをつなぎ、別の新しい食物の通り道(バイパス)をつくります。代替方法として挙げられるのは、食道ステント(金属の筒状の器具)を入れる方法です。
化学療法
食道がんの薬物療法(化学療法)には根治目標と、切除不能進行・再発に対して行われるものがあります。がんの進行度や全身の状態により、担当の医師と方法を決めることとなるでしょう。
内容としては、1つの薬を使うか・複数の薬を組み合わせるか・どの種類の薬を使うか・治療目的・がんの状態や臓器の機能などです。化学療法のデメリットでは薬で想定される副作用が知られています。
放射線療法
高エネルギー放射線を当て、がんを殺す治療です。年齢による臓器機能低下など状態が悪い場合は、放射線療法のみ行います。照射の種類は身体の外から照射する外照射、食道内に器具を入れる腔内照射です。
食道の機能や形態を温存できる・化学療法との併用でより効果が高くなることが放射線療法のメリットになります。デメリットとしては副作用が想定されるでしょう。

