「大事な予定があるから、今週は風邪をひきたくない」――そんな場面は誰にでもあるものです。一方で、風邪は身近な病気でありながら、その実態や予防の考え方については曖昧なままの人も少なくありません。今回は、風邪の基本から具体的な予防策まで、晃友上九沢クリニック院長の川村先生に解説してもらいました。
※2026年5月取材。

監修医師:
川村 洋和(晃友上九沢クリニック)
帝京大学医学部卒業。その後、医療法人財団明理会 相原病院病院長などを経て晃友上九沢クリニック院長となる。日本内科学会認定内科医、日本腎臓病学会腎臓専門医。
風邪って何? 意外と知らない基礎知識
編集部
風邪とは、どのような病気なのでしょうか?
川村先生
いわゆる風邪は「急性上気道炎」と呼ばれ、主にウイルス感染によって鼻や喉などの上気道に炎症が起こる状態を指します。原因となるウイルスは200種類以上あるとされており、ほとんどの場合、特定の一つではなく、さまざまなウイルスが関与しています。そのため、何度も繰り返しかかることが特徴です。
編集部
風邪の主な症状について教えてください。
川村先生
代表的な症状としては、喉の痛み、鼻水、鼻づまり、咳、発熱などがあります。個人差はありますが、軽いだるさや食欲低下を伴うことも多いですね。通常は数日〜1週間程度で自然に軽快することが多く、症状が長引いたり強く出たりする場合には、別の病気の可能性も考える必要があります。
編集部
風邪をひきやすい人とひきにくい人がいるのは、なぜでしょうか?
川村先生
風邪をひきやすいかどうかの違いは、主に「免疫の状態」の差によるものです。風邪は、体内に侵入したウイルスと免疫細胞が戦う過程で炎症が起こり、風邪の諸症状が見られることになります。そのため、同じ環境にいても、体力があり免疫がしっかり働いている人は発症しにくく、逆に睡眠不足やストレスなどで体調が崩れている人は免疫が低下しているため感染しやすくなります。
編集部
風邪とインフルエンザは、どう違うのでしょうか?
川村先生
どちらもウイルス感染ですが、インフルエンザは原因となるウイルスが特定されており、高熱や全身の関節痛、強い倦怠(けんたい)感など、より全身症状が強く出る傾向があります。一方、風邪は症状が軽いことが多いものの、重症化することもあるため軽視はできません。
シーズン前からできる対策とは?
編集部
風邪をひきにくくするためには、普段からどのようなことを意識すればよいのでしょうか?
川村先生
まず重要なのは、シーズン前から体調を整えておくことです。具体的には、バランスのよい食事、十分な睡眠、適度な運動を心掛けることが基本になります。また、過度なストレスは免疫機能を低下させるため、リラックスできる時間を確保することも大切です。
編集部
食事で意識すべきポイントはありますか?
川村先生
特定の食品だけで予防できるわけではありませんが、栄養バランスの取れた食事が重要です。特に、たんぱく質やビタミン類、ミネラルをしっかり摂取することで、免疫機能を維持しやすくなります。極端な偏食や過度なダイエットは避けたほうがよいでしょう。
編集部
睡眠時間や睡眠の質も、風邪のひきやすさに関係するのでしょうか?
川村先生
大きく関係します。睡眠不足は免疫の低下につながるため、質・量ともに十分な睡眠を確保することが重要です。また、生活リズムが乱れると自律神経のバランスも崩れやすくなり、体調不良につながることがあります。なるべく決まった時間に寝て起きる、規則正しい生活を意識することが基本です。
編集部
ストレスと免疫には、具体的にどのような関係があるのでしょうか?
川村先生
さまざまな研究から、ストレスは免疫機能に影響を与えることが知られています。慢性的なストレスが続くと、感染症にかかりやすくなる傾向があります。ストレスから完全に解放されるのは難しいかもしれませんが、適度に気分転換を行う、休息を取るなど、ストレスをため込まない工夫が大切です。

