白目や皮膚が黄色く見える「黄疸」は、肝臓の機能が大幅に低下しているサインのひとつです。劇症肝炎では、ビリルビンという色素が血液中に蓄積されることで黄疸が現れます。黄疸が起きる仕組みや、黄疸の深さと病状の関係、さらに伴いやすいかゆみへの対応まで、知っておきたいポイントを丁寧に解説します。

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
劇症肝炎と黄疸:黄疸が示す肝臓の危機的状態
黄疸は劇症肝炎において見逃してはならない重要な症状です。皮膚や白目の黄変という見た目の変化は、肝臓の機能が大幅に低下していることを示しているサインです。
黄疸が起きる仕組みをわかりやすく解説
黄疸は、「ビリルビン」という黄色い色素が血液中に増加することで起こります。ビリルビンはもともと赤血球が壊れる際に産生される物質で、通常は肝臓で処理されて胆汁(たんじゅう)として排泄されます。肝臓の機能が低下すると、このビリルビンをうまく処理できなくなり、血液中にどんどん蓄積されていきます。
蓄積されたビリルビンは皮膚や粘膜に沈着し、白目や皮膚が黄色く見えるようになります。また、ビリルビンは尿中にも排泄されるため、尿が濃い茶色や紅茶のような色になることもあります。一方、便は本来胆汁によって色がつけられているため、胆汁の分泌が減ると便の色が薄くなるという変化も伴います。ただし、便の色の変化は別の病気(胆石など)でもよく見られます。黄疸・濃い尿・薄い便の3つが揃っているときは、肝臓や胆道系の問題が疑われます。
黄疸が表れたらどのように行動すべきか
黄疸は肝臓疾患のサインとして重要ですが、その原因は劇症肝炎だけに限りません。胆石症、急性胆管炎、膵(すい)疾患なども黄疸を引き起こすことがあります。いずれにしてもだるさ・食欲不振・発熱などを伴う黄疸は肝臓の急激な障害を示している可能性があり、迅速な対応が求められます。
自分または家族の白目が黄色く見えたり、尿の色が明らかに濃くなったりした場合は、翌日以降まで様子を見ず、できる限り当日中に内科や消化器内科を受診することを強くおすすめします。特に意識の変化や強いだるさを伴う場合は、救急受診も選択肢に入ります。黄疸は見えやすいサインだからこそ、見逃さず活かすことが大切です。
劇症肝炎と黄疸:黄疸の程度と病状の関係
黄疸の程度は病状の重篤さを反映していることがあります。黄疸の深さと病状の関係を理解することで、症状の変化をより正確に捉えることができます。
黄疸の深さと肝障害の重症度
総ビリルビン値が上昇するほど黄疸は深くなり、皮膚全体が濃い黄色から褐色がかった色合いになっていきます。軽度の黄疸では白目の黄変のみが目立ちますが、中等度以上になると皮膚全体が黄色くなり、かゆみを伴うこともあります。重度の黄疸は深部黄疸とも表現され、肝機能が著しく低下していることを示します。
劇症肝炎では、ビリルビン値が急激に上昇することが多く、数日間で黄疸が急速に深まるケースも見られます。このような急激な変化は、肝細胞の壊死が進行していることを意味しており、緊急の医療対応が必要な状態です。黄疸の変化を日々観察することは、病状の経過を把握するうえで重要です。
黄疸に伴う皮膚症状・かゆみへの対応
黄疸が続くと、皮膚に沈着したビリルビンが神経を刺激してかゆみ(掻痒感:そうようかん)を引き起こすことがあります。このかゆみは全身に及ぶことがあり、特に夜間に強くなるため、睡眠の妨げになることも少なくありません。
かゆみへの対応としては、皮膚を清潔に保つこと、入浴は熱すぎないお湯で短時間にすること、保湿ケアをこまめに行うことなどが挙げられます。ただし、薬剤による対症療法については医師の指示に従うことが必要です。自己判断で市販の抗ヒスタミン薬(アレルギーを抑える薬)を服用すると、肝臓にさらなる負担をかける可能性があるため、かゆみで眠れないほどの場合は自己判断で市販薬を使わず、担当医に相談することが大切です。

