第2のギャップ:外国なのに感じる心理的安全性の高さ
二つ目のギャップは、想像していた以上に多様性が受け入れられている環境だったことです。これは、私たち家族にとってとても嬉しいギャップでした。ハワイには日本人やアジア系の方が多いということは、移住前から知っていましたが、実際に暮らしてみると、その多様性は期待をはるかに超えていました。
アジア系の人がいることも、英語が母語ではない人がいることも特別なことではありません。日本にルーツを持ちながら、日本語を話さない人。英語を第一言語として生活している方もいれば、さまざまな国や文化的背景を持つ人たちが自然に共存しています。
だからこそ、「英語が完璧ではない」「文化が違う」といったことに対して、周囲の目がとても寛容です。コミュニティ全体に、相手の違いを受け入れようとする空気があり、心理的安全性のある環境だなと感じています。
もちろん、その背景には長い日系移民の歴史があります。日本人がこの土地で長い年月をかけて信頼を築いてきたからこそ、私たちも自然にコミュニティの中に溶け込むことができている。その事実に触れるたび、日本人として、先人たちへの感謝の気持ちを感じます。
移住前は、「外国で暮らすのだから、もっと肩身の狭い思いをしたり、嫌な思いをしたりすることもあるだろう」と覚悟していました。
もちろん、まだ移住して8か月。これからさまざまな経験をすると思います。それでも今のところ、私たち家族は大きなストレスを感じることなく、安心して生活することができています。
子どもたちも私たち夫婦も、のびのびと過ごせている。この心理的安全性の高さは、移住前には想像していなかった、ハワイの大きな魅力の一つだと感じています。
第3のギャップ:外国人になって初めて見えたもの
一方で、移住してみて改めて感じているのが、「外国人として暮らすこと」の緊張感です。ハワイのコミュニティには温かく受け入れてもらっている一方で、制度の上では私たちはあくまでも外国人です。アメリカの移民政策やトランプ政権の動向がニュースで取り上げられるたびに、「政治の変化が自分たちの生活に直結している」という感覚を持つようになりました。
私たちはビザを取得してハワイで生活しています。だからこそ、常に「滞在を許可されている立場」であることを意識しています。
もしも何か手続きのミスをしたら。何かルール違反があったら、すぐにビザが取り消されてしまう。ある意味、恐怖に似たような感情もあります。
私は親会社からの出向という形で赴任してきましたが、現地には前任者もおらず、マニュアルもありませんでした。
家探しから子どもたちの転校手続き、数々の行政手続きまで、すべてが手探りの状態。特にアメリカで生活するために必要なソーシャルセキュリティナンバーを取得するまでの道のりは、本当に大変でした。
ちょうど赴任してきたタイミングで、アメリカの一部政府機関がシャットダウンを宣言。その影響も重なり、何度も役所へ足を運びました。慣れない英語で説明を理解し、手続きを進めなければならないプレッシャーは想像以上でした。
半年ほど経ってようやく生活基盤が整い、今は正直ほっとしています。
こうした経験を通して、自国ではない場所で暮らすことには、根底に「立場の弱さ」があることがわかりました。
この経験は決してマイナスだけではないとも思っています。日本でも移民や外国人労働者をめぐる議論が続いていますが、実際に外国人として暮らしてみたことで、これまでよりも当事者に近い感覚でそうした問題を考えられるようになったと思います。
異国の地で暮らす難しさも、受け入れてもらえるありがたさも、その両方を経験できたこと。それは、ハワイ移住によって得られた大きな学びの一つだと感じています。

