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【闘病】再検査2年放置の代償。OLを襲った『胃がん』『乳がん』同時宣告の悪夢

【闘病】再検査2年放置の代償。OLを襲った『胃がん』『乳がん』同時宣告の悪夢

2年前の健康診断で再検査を指摘されていたにもかかわらず、「自分が病気になるわけがない」と放置してしまっていた――。2019年7月、胃痛と嚥下(えんげ)時の違和感をきっかけにクリニックを受診した華子さん(仮称)は、紹介先の大学病院で胃がん・乳がんの同時診断を受けました。胃の3分の1~3分の2を切除する大手術の後には脳脊髄液減少症(脳や脊髄を包む液体が漏れることで頭痛・めまいなどが生じる疾患)という予期せぬ合併症も発症。その後も乳がんの抗がん剤治療・手術・放射線治療と、診断から約1年に及ぶ治療を経験しました。現在は胃がんが寛解し、乳がんも経過良好なものの、胃切除後症候群(胃を大きく切除したことで起こる消化器系の諸症状の総称)による後遺症は今も続いています。華子さんに再検査指摘を2年間放置してしまった経験と、術後の生活について聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年11月取材。

華子さん

体験者プロフィール:
華子さん(仮称)

1976年生まれ、千葉県在住。当時の職業は広告デザイナー。2019年7月に胃痛と嚥下時の違和感をきっかけに医療機関を受診し、胃がん・乳がんを同時診断される。同年9月に噴門側胃切除術を受け、翌2020年1月から乳がんの抗がん剤治療を開始。同年6月に乳房温存手術、7月より約2カ月の放射線治療を経て、診断から約1年で全治療を終了。現在は胃がんが寛解し、乳がんも経過良好。術後後遺症と向き合いながら日常生活を送っている。

再検査を指摘されても受診しなかった2年間

再検査を指摘されても受診しなかった2年間

編集部

病気が判明したきっかけを教えてください。

華子さん

2019年7月ごろから空腹時の胃痛や、物を飲み込む際に違和感があり、むせることが増えていました。普段ならやり過ごすところでしたが、嫌な予感がしてかかりつけのクリニックを受診したことがきっかけです。
実は、健康診断で再検査を指摘されていたにもかかわらず2年間放置してしまっていたんです。「自分が病気になるわけがない」「放っておいても大丈夫」と自身の健康を過信していたんでしょう。「何のために健康診断を受けていたの?」と当時の自分を問い詰めたいくらいですね。

編集部

受診後、どのような検査を経て診断に至りましたか?

華子さん

かかりつけクリニックで胃カメラ(内視鏡検査)を受けたところ、「良性にしては腫瘍が大きい」と言われ、大学病院へ紹介状を書いてもらいました。大学病院で再度胃カメラを受け、腫瘍の中心部分まで検査したところ悪性と判明。続くCT撮影で偶然胸に白いかたまりが見えたため、そのまま乳腺外科を受診し、病理検査(組織を採取して顕微鏡で調べる検査)の結果、乳がんと確定しました。
かかりつけ医と大学病院の主治医がスムーズに検査を進めてくれたおかげで、診断まで迅速につながりました。

編集部

同時に2つのがんと診断された際、どのような気持ちでしたか?

華子さん

これまで病気らしい病気をしたことがなかったので現実味がなく、最初はひとごとのように感じていました。ただ、家族に打ち明ける段階になって「2年放置していた結果がこれか……」と、ようやく自分の身に起きたこととして受け止められました。
診断を聞いた際は割と落ち着いていましたが、どちらかというと術後に後遺症が出て初めて「大変な病気だったんだなぁ」という後悔とショックが大きくなった気がします。

編集部

2つのがんが同時に見つかった場合、治療はどのような順で進むのでしょうか?

華子さん

どちらの手術を優先するか、抗がん剤はどうするかを、それぞれの主治医と相談しながら決めました。胃がんの手術は全身麻酔が必要なため、体力があるうちに行った方がいいということで、まず胃がんの手術からスタートすることになりました。
胃がんのステージを確認してから抗がん剤の順序を決め、最終的には、胃がん手術→乳がんの抗がん剤治療→乳がん手術の順で進めました。胃がんの抗がん剤は、乳がんの抗がん剤の副作用が強く出たことと、術後の経過が良好だったことから、最終的には行わないことになったんです。

編集部

手術と一連の治療について、詳しく教えてください。

華子さん

胃がんの診断名は「食道胃接合部がん(食道と胃の境目付近にできたがん)」だったので、胃の入り口(噴門)側を切除する「噴門側胃切除術」を行い、「ダブルトラクト法(残った食道・胃・小腸をつなぎ直す再建術)」で消化管を再建しました。胃の3分の1~3分の2を切除する大きな手術でしたが、無事に終え体調も良好でした。ところが術後に合併症として脳脊髄液減少症を発症し、約2週間の寝たきり生活を余儀なくされました。
回復してから乳がんの抗がん剤治療を開始し、その後「乳房温存手術(乳房を部分的に切除し、形を残す手術)+腋窩リンパ節郭清(えきかりんぱせつかくせい/がん転移が起こりやすいと考えられる腋窩のリンパ節をまとめて切除する手術)」を受けました。さらにその後、約2カ月間の放射線治療も行い、最初の診断から全治療を終えるまで、およそ1年かかりました。

現在も術後後遺症との付き合いが続いている

現在も術後後遺症との付き合いが続いている

編集部

現在の病状や経過について教えてください。

華子さん

胃がんの治療はまもなく5年が経過し、再発もないことから「寛解と言えるでしょう」という説明を受けました。現在は通院もなく、会社で受ける年1回の健康診断で様子を見ている状況です。乳がんも来年で5年となるため、主治医からは「年内のCT・マンモグラフィ・エコーの検査で問題がなければ、寛解としましょう」と言われています。ホルモン療法(女性ホルモンの働きを抑えてがんの再発リスクを下げる内服治療)は5〜10年を目安に続ける必要がありますが、「がんのタイプが再発しやすいものではない」とのことで、年内の検査次第で終了できる見通しです。

編集部

術後の生活で、どのような後遺症や悩み事が続いていますか?

華子さん

胃の約半分がないことで消化機能が失われており、「胃切除後症候群」の状態が続いています。主な症状は、食べ物が急速に腸へ送り出されることで起こるダンピング症候群(冷や汗・めまい・腹痛など)、下痢・軟便、貧血、逆流性食道炎で、日常的に起こっています。症状が出たときは、その都度対症療法を行っています。
食事の量も、健常者の3分の1~半分が限度です。外食で食べ切れない料理が出ることもありますが、「みんなと食卓を囲む楽しみはなくしたくない」という気持ちで参加し続けています。最近はフードロスの観点から、食べ残しを持ち帰れるお店が増えてきました。今の私にとっては非常にありがたい動きだと思っています。
胃がないと思いもよらない不便と直面します。そのたびに、早期発見・早期対処の大切さを、身をもって感じています。

編集部

治療を通じて、心の支えになったものは何でしたか?

華子さん

自分の気持ちや行動を文章化する習慣ですね。手術翌日からリハビリテーションが必要にもかかわらず、術後3日間ほどは激しい痛みでひたすら横になっているしかなく、テレビを見ていても気がめいって内容が入ってきませんでした。痛みが引いた後も、胃を失ったことへの絶望感から食に関する番組ばかりに目が向いてしまう時期がありました。そんなとき、日記や1日のスケジュールを書き出したり、食事の写真を撮るなど記録をつけたりすることで、自分の気持ちを整理していたんです。入院中に身に付けた習慣は、その後の治療でも心の支えになりました。

術後記録していたノート

編集部

医療スタッフに望むことはありますか?

華子さん

術後の経過を診てくれた先生が、ダンピング症候群や逆流性食道炎のことを定期観察の度に丁寧に説明してくれたことで、ネガティブにならずに済みました。看護師も「気持ちが悪いから歩行訓練できない」と伝えればすぐに車いすを用意してくれて、臥床安静中(がしょうあんせいちゅう/ベッドの上で横になって、静かに休んでいる状態)もベッドのまま洗髪やシャワーに対応してくれました。抗がん剤治療時に「ウィッグ姿、すてきね」と声を掛けてもらえたことも忘れられません。
患者さんは身近な人とのやりとり一つで気持ちが大きく左右されます。これからも心に寄り添った治療に努めてもらえると本当に助かります。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

華子さん

年に一度の健康診断で、再検査を指摘された場合は必ず受けてください。私のように2年間放置してしまうと、その間に腫瘍が大きくなってしまいます。「自分は大丈夫」という思いが、一番の落とし穴です。健診を受けた意味を考え直して、きちんと検査をして早期発見につなげてほしいです。
もし罹患(りかん)してしまった場合は、なったことを後悔しても仕方がありません。「これからをどう生きるか」と前向きに捉えられるといいと思います。私もがんになったことで、今がんと闘っている人の気持ちが多少なりとも分かるようになりました。たとえ末期がんの診断を受けたとしても治療を諦めないでほしいですし、残りの人生を悔いなく生きてほしいと思います。

配信元: Medical DOC

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