小児の急性リンパ性白血病の治療方法はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が急性リンパ性白血病の治療方法について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『”小児”に多い「急性リンパ性白血病の初期症状」とは? 風邪との違いも医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
山本 佳奈(ナビタスクリニック)
滋賀医科大学医学部卒業 / 南相馬市立総合病院や常磐病院(福島)を経て、ナビタスクリニック所属/ 専門は一般内科
急性リンパ性白血病とは?
急性リンパ性白血病(ALL)とは、血液ががん化して白血病細胞となり、骨髄内で増殖することでさまざまな症状を引き起こすがんの一種です。
急性リンパ性白血病は、未熟なリンパ球であるリンパ芽球に由来する白血病で、骨髄系前駆細胞が由来の急性骨髄性白血病(AML)とは明確に区別されます。
白血病は小児期に起こるがんのなかで、特に多い疾患です。急性リンパ性白血病は、日本では1年間に450〜500人のお子さんが診断されていると推定されています。
小児の急性リンパ性白血病の治療方法
検査で患者さんが小児の急性リンパ性白血病であると確定したら治療が始まります。
急性リンパ性白血病の治療は基本的に薬を使う化学療法を中心に進め、化学療法で改善が見込めないなど限られたケースで造血幹細胞移植や放射線治療も取り入れます。
治療期間は約2年間ですが、その内入院が必要な期間は長くても約1年間です。それ以降は外来で治療を進めます。投薬の副作用はありますが、入院期間中にも患者さんの体調に合わせて外泊や一時退院が可能です。
寛解導入療法
寛解(かんかい)導入療法とは、完全寛解と症状の軽減を目指した治療法です。完全寛解とは検査や顕微鏡で確認できる範囲に白血病細胞が見られない状態を指します。
完全寛解を目指して、以下の4種類の薬剤を4~5週間かけて投与します。
プレドニゾロンまたはデキサメタゾン
ビンクリスチン
L-アスパラギナーゼ
アントラサイクリン系
同時にメトトレキサートなどの薬剤を脳脊髄液内に注射して、中枢神経系に白血病細胞が侵入しないよう予防します。
強化療法
強化療法とは、寛解導入療法で完全寛解になった後も体内に隠れている白血病細胞を減らすための治療法です。強化療法と再寛解導入療法を繰り返し行い、白血病細胞を減少させていきます。
強化療法では、寛解導入療法では使用しなかった薬剤を投与するのが特徴です。強化療法と再寛解導入療法を繰り返している期間中、中枢神経系への白血病細胞侵入予防にメトトレキサートを含む薬剤を髄注療法や点滴で投与する場合もあります。
維持療法
維持療法とは、完全寛解を維持するため、外来で通院しながら飲み薬を飲む治療法です。
メルカプトプリンを毎日、メトトレキサートを週1回内服する処方が一般的です。約1〜2年は通院が必要ですが、維持療法の期間中は通常の生活が可能です。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植とは、健康な造血幹細胞移植を移植する治療法です。以前は骨髄移植が標準でしたが、近年では臍帯血や末梢血幹細胞などからでも移植が可能になりました。
造血幹細胞移植は身体的な影響が大変大きい治療となるため、以下のような限定的なケースでのみ用いられます。
予後の悪い染色体異常がある
遺伝子異常がある
初期の治療反応が悪い
ほかにも再発に対して造血幹細胞移植が行われることがあります。

