誰もがふと思う疑問です。34歳の山本ナツは、〈「やりたいこと」より「正解」っぽい道を選ぶのに必死だった〉。(〈 〉は同書より引用、以下同)
そんな共感からはじまる『夫がいても誰かを好きになっていいですか? コンビニで見つけた私の恋』(ただっち著、KADOKAWA、2025年12月)。作者のただっちさんは、不倫やモラハラなど、人間関係の闇を繊細に描いています。
主人公の山本ナツは会社員。結婚6年目にして子宝を授からないのが目下の悩みです。夫のヒロキは38歳。子供についてはあまり積極的ではありません。子供ができれば何かが変わる?
20代後半で、友人から紹介されたヒロキと結婚。〈「これで」よかった。「これが」よかった〉と思い続けたナツの人生は、今もそのままです。結婚したら子供を持ち、母になるのが当然だと思っています。ナツのこの先入観は、母親からの呪縛でもありました。子供の頃、好きな色のランドセルを選んだら、母親からはあっさり却下されました。部活も大学も就職も、すべて母親基準の正解に従ってきたナツ。自分が求めるのは何なのか、心の底から欲するものが何なのか、わからないまま生きてきたのです。









コンビニで出会った彼
〈私の人生これでよかったのかな?〉子持ちの女子社員に仕事を押しつけられ、夫とはレスな日々。自分が選んできた「正解」を、疑いたくなるのも無理はありません。でも、幼い時に母親から、欲望に蓋をされ続けてきたナツには、自分が何を求めているのか、わからなくなっていたのです。
仕事帰りに立ち寄るコンビニで、好きなお菓子を買う、それがナツのささやかな癒し。ところがある日、お気に入りのお菓子が売り切れ、意気消沈としてしまいます。が、男性の店員がナツのために、ひとつキープしていました。
その彼こそ、高橋ツカサ、25歳。やがてふたりは、ひとことふたこと、言葉をかわすようになるのです。





