私が還暦を迎えたころ、娘夫婦が久しぶりにわが家へ遊びに来たときのことです。最初は孫の話などで和やかな時間を過ごしていました。ところが食事を終えたころ、婿が急に真剣な表情になり、思いも寄らないことを切り出したのです。
久しぶりの家族団らんで…
その日、娘夫婦は久しぶりにわが家を訪れました。最初はいつも通り、孫の話や近況を聞きながら、穏やかな雰囲気で過ごしていました。私たち夫婦にとっても、娘夫婦と顔を合わせてゆっくり話せる時間はうれしいものでした。食事中も大きな問題はなく、家族で楽しく過ごしていたのです。
ところが、食事が終わったころ、婿の様子が少し変わりました。急に真剣な顔つきになり、私たちに向かって「そろそろこの家をゆずってもらえませんか」と言いだしたのです。
突然の要求に言葉を失う
私は一瞬、何を言われたのかわかりませんでした。まだ自分たちで生活している家ですし、手放すつもりはまったくありません。
理由を聞くと、婿は「子どもが増えるから広い家が必要」「ローンを組むより、実家を使ったほうが効率的」と説明しました。その言い方は、私たちの生活よりも自分たちの都合を優先しているように聞こえ、驚きと戸惑いで胸がいっぱいになりました。
娘も困ったような顔をしていましたが、婿は特に悪びれる様子もなく、話を続けました。まるで家をゆずってもらえることが当然であるかのような口ぶりに、私は次第に怒りを感じるようになっていきました。

