「眠りたいのに眠れない」「夜中に何度も目が覚める」といった睡眠の悩みを抱えていませんか。神奈川県立保健福祉大学の研究員らは、65歳以上の高齢者を対象に7年間の追跡調査を行い、不眠症の程度と認知症発症との関連を分析しました。その結果、不眠症の症状が強い人ほど、将来的な認知症の発症リスクが高まる可能性が示されました。研究内容について伊藤先生に伺いました。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
研究グループが発表した内容とは?
編集部
神奈川県立保健福祉大学の研究員らが発表した内容を教えてください。
伊藤先生
山梨県鶴市に住む65歳以上の健康な高齢者5255人を対象に、不眠症の程度と認知症の発症リスクとの関係を7年間にわたり追跡調査する研究が行われました。認知症の発症については、介護保険のデータを用いて確認し、不眠症の程度は「アテネ不眠症尺度」(睡眠の悩みを点数化する評価方法)で測定しました。その結果、追跡期間中に878人が認知症を発症しました。分析の結果、不眠症の症状が強い(重症度が高い)人ほど、認知症の発症リスクが高まる傾向が明らかになりました。また年齢や性別、健康状態などの影響を考慮した後でも、不眠症の重症度が高いほど認知症の発症率は高くなっていました。
不眠症の改善方法とは?
編集部
不眠症を改善するために、日常生活でできることを教えてください。
伊藤先生
不眠症を改善するためには、医療機関での治療に加えて、日常生活の中で睡眠リズムを整えることが大切です。まず、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びる習慣をつけましょう。太陽光は体内時計を調整し、夜に自然な眠気が訪れるためのリズムづくりに役立ちます。
また、バランスのよい食事も睡眠の質を高めるポイントです。ビタミンB群やマグネシウムなど、睡眠に関わる栄養素を含む食品を取り入れるとよいでしょう。
さらに、ウォーキングやジョギングなどの適度な運動は、ストレス解消や自然な眠気につながります。ただし、寝る直前の激しい運動は避け、朝や昼間に行うことが大切です。
毎日の生活習慣を見直し、できることから少しずつ睡眠環境を整えていきましょう。

