浮き彫りになる、日本サッカー協会や森保監督の甘さ
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しかし、だからといって、そうした真摯な姿勢によって、この一件が美談になるわけでもなければ、すべてが帳消しになるわけでもありません。
むしろ、ピッチ上の彼が必死に内省のポーズを保たざるを得ない姿を見るたびに、佐野選手に対して明確で厳しい判断を下せなかった日本サッカー協会や、森保監督のマネジメントの甘さが、逆説的に浮き彫りになってしまうのです。
もちろん、彼らが佐野選手を招集し、中心選手として起用するという判断そのものは尊重されるべきでしょう。
ただし、ここでいう「尊重」とは、好意的に納得し、賛同したという意味ではありません。
「あなたたちはそのように判断したのですね。わかりました」、「組織として、そういうリスクを背負う判断をなさったのですね」 そう受け止めるしかないという、冷淡で事務的な理解のことです。
だからこそ、今大会での日本代表の躍進を素直に喜ぼうとしても、どこかにぎこちなさや引っかかりが残ります。
そして、その割り切れなさこそが、目先の勝利を優先して明確な基準を示さなかった、サッカー界自らの「身から出たサビ」であると言わざるを得ないのです。
<文/石黒隆之>
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4

