私が40代後半だったころのことです。当時の私は、責任ある役職に就いて仕事に追われる一方で、私生活では反抗期の息子との関係にも悩んでいました。心にも体にも余裕がなく、実家で1人暮らしをしていた母からの電話さえ、どこか負担に感じてしまっていたのです。そんな私に、母との突然の別れが訪れました。
忙しさを理由に、母からの電話を後回しに
当時、母は週に一度ほど「元気?」と電話をくれていました。1人暮らしの母にとっては、私の声を聞くことが安心につながっていたのかもしれません。
しかし、そのころの私は仕事に追われ、家庭でも反抗期の息子との関係に悩み、気持ちに余裕がありませんでした。母からの電話を見ても、「また用事のない電話だろう」「今は忙しいのに」と感じてしまうことがありました。
ある金曜日の夜、残業中に母から着信がありました。スマートフォンの画面に母の名前が表示されたのを見た私は、「今は出られない。明日かけ直せばいい」と思い、着信音を消してそのままにしていました。
「日曜日に話せばいい」と思っていた私
翌日の土曜日も、私はたまっていた家事と息子の部活動の送り迎えに追われていました。母に電話をしなければと思いながらも、目の前の用事を優先し、連絡は後回しになっていきました。
「明日になれば時間ができる」
「日曜日にゆっくり話せばいい」
そう自分に言い聞かせて、結局その日も母に電話をしませんでした。そのときの私は、母と話す時間がこの先も当たり前にあると思い込んでいたのです。

