心疾患は、心臓の血管や筋肉、拍動のリズムなどに異常が起こる病気の総称です。代表的なものには狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患、不整脈や心不全などがあり、症状や必要な支援は病状によって異なります。
心疾患のある方を介護する際は日常生活のなかで息切れや胸の痛み、むくみや強い疲労感などの変化に気付き、無理のない生活を支えることが大切です。
また服薬や通院を継続しながら、主治医や訪問看護、介護サービスと連携して状態に合った支援を行うことも重要です。
この記事では、心疾患のある方を介護する際の基本的な考え方や日常生活での注意点、家族ができるサポートや緊急時の対応に関して解説します。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
心疾患がある方の介護の基本

心疾患とはどのような病気ですか?
心疾患とは、心臓や心臓に血液を送る血管に異常が起こる病気の総称です。代表的なものには、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患があります。不整脈や心不全、心臓弁膜症や心筋症なども心疾患の病気です。心臓は全身へ血液を送り出す役割を担っているため、機能が低下すると息切れや胸の痛みなどが起こる場合があります。また、病気の種類によって症状の出方や治療内容は異なります。介護では、病名だけで判断するのではなく、本人の体力や生活動作の状況の確認が大切です。主治医から受けている説明をもとに、無理のない生活範囲を把握しておくとよいでしょう。
心疾患のある方の介護で注意すべき点を教えてください
心疾患のある方を介護する際は、心臓に負担をかけすぎないような配慮が重要です。歩行や入浴、排せつや着替えなどの日常動作でも、体調によっては息切れや疲労感が強くなる場合があります。介助を行うときは、本人のペースに合わせて動作を進めましょう。急がせたり無理に立たせたりすると、動悸や息切れが強くなる可能性があります。必要に応じて休憩を挟み、表情や呼吸の様子の確認が大切です。また、心疾患では服薬の継続や通院管理も重要です。薬の飲み忘れや自己判断による中断は、症状の悪化につながる場合があります。家族は体調変化と服薬状況を日頃から確認し、気になる変化があれば医療機関へ相談しましょう。
心疾患がある方によく見られる症状を教えてください
心疾患がある方では、胸の痛みや圧迫感、動悸や息切れなどが見られる場合があります。心不全では、むくみや体重増加、横になると息苦しいなどの症状も一般的です。ただし、高齢の方の場合は症状がはっきり出ない場合もあります。胸の痛みを訴えなくても、いつもより元気がない、食欲が落ちているなどの変化として現れることがあります。普段の様子を知っている家族や介護者が、小さな変化に気付くことも大切です。症状の出方には個人差があります。そのため、いつもと違う状態が続く場合は自己判断せず、主治医や訪問看護師に相談しましょう。強い胸痛や呼吸困難がある場合は、緊急対応が必要になることもあります。
日常生活で注意すべき体調変化にはどのようなものがありますか?
日常生活では、息切れや動悸が以前より強くなっていないか確認しましょう。少し歩いただけで苦しそうにする、会話中に息が続かないなどの変化は注意が必要です。また、足のむくみや急な体重増加にも気を付けましょう。心不全では身体に水分がたまりやすくなり、むくみや体重変化として現れる場合があります。毎日の体重測定や足の状態の確認は、変化に気付く手がかりです。食欲低下や強い疲れ、夜間の息苦しさも見逃したくない変化です。本人が大丈夫と言っていても、表情や動作が普段と違う場合があります。介護者は普段との違いを意識し、変化が続くときは早めに相談しましょう。
心疾患の要介護者を受け入れてくれる施設はありますか?
心疾患がある方でも、状態に応じて介護施設や在宅系サービスを利用できる場合があります。施設の種類には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどがあります。医療的な管理が必要な場合は、施設ごとの受け入れ体制の確認が重要です。受け入れ可否は、病名だけで決まるわけではありません。心疾患の状態や服薬内容、通院頻度や緊急時の対応体制などによって判断される場合があります。酸素療法や頻回な医療処置が必要な場合は、対応できる施設が限られることもあります。施設を検討する際は、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談しましょう。主治医の意見書や診療情報をもとに、本人に合ったサービスの検討が大切です。見学時には医療機関との連携体制や、夜間の対応も確認しておくと心強いでしょう。
心疾患のある方の介護で家族ができるサポート

無理をさせないための声かけの工夫はありますか?
心疾患のある方へ声をかける際は、本人の意思を尊重しながら無理のない動作を促すことが大切です。急いで動くように促すと、息切れや動悸が強くなる場合があります。「早くしてください」ではなく、「少し休んでから動きましょう」と声をかけるとよいでしょう。本人が遠慮して無理をしてしまう場合もあるため、休憩を取りやすい雰囲気を作ることも重要です。介助中は、呼吸の乱れや顔色の変化を確認しましょう。疲れている様子がある場合は、いったん動作を止めることも必要です。また、できることまで止めてしまうと活動量が低下する可能性があります。本人の状態に合わせて、無理なくできる範囲を一緒に確認しましょう。
服薬管理や通院支援で気をつけることは何ですか?
心疾患では、薬の服用継続が重要です。薬は症状の悪化や再発を防ぐ目的で処方される場合があり、自己判断で中止すると体調悪化につながる可能性があります。家族は、薬の飲み忘れや重複がないか確認しましょう。お薬カレンダーや服薬ボックスを使うと、服薬状況を把握しやすいでしょう。通院時には、日頃の体調変化を医師へ伝えることも大切です。息切れやむくみ、体重の変化や食欲低下などを記録しておくと診察時に役立ちます。薬の副作用が疑われる症状や飲みにくさがある場合は、自己判断で調整せず医師や薬剤師へ相談しましょう。服薬と通院を続けるためには、家族が記録と確認を支えることが重要です。
介護サービスや医療機関との連携はどう進めればよいですか?
心疾患のある方を介護する場合は、家族だけで抱え込まないことが大切です。主治医やケアマネジャー、訪問看護師などと情報を共有しながら支援体制を整えましょう。まずは、主治医から生活上の注意点を確認しましょう。運動や入浴、食事や水分制限の有無などは病状によって異なります。介護サービスを利用している場合は、体調変化を事業所にも伝えておくと不安を軽減できます。普段の血圧や脈拍、息切れの程度を共有しておくと変化に気付きやすくなるでしょう。急変時の連絡先も、あらかじめ確認しておきましょう。家族と関係者が同じ情報を持つことで、状態に合った介護を行えます。
要介護者に心疾患が疑われる症状が起きた場合の対処法を教えてください。

心疾患の要介護者の生活上の注意点を教えてください。
心疾患のある方は、日常生活で心臓に負担をかけすぎないことが大切です。入浴や排せつ、階段の上り下りなどは身体に負担がかかる場合があります。動作の前後には、息切れや疲労感がないか確認しましょう。必要に応じて休憩を挟み、本人のペースで行えるように支援します。食事では、医師から塩分や水分に関して指示される場合があります。制限の内容は病状によって異なるため、家族の判断で極端に減らすことは避けましょう。体重や血圧、脈拍の記録も体調管理に役立ちます。特に心不全では、むくみや急な体重増加が悪化のサインになる場合があります。生活のなかでは、小さな変化を見逃さないことが重要です。
日頃から準備しておくとよいことはありますか?
日頃から、緊急時に必要な情報をまとめておくと不安を軽減できます。病名や服薬内容、かかりつけ医や通院先をすぐ確認できるようにしておきましょう。お薬手帳や保険証、診察券はわかりやすい場所に保管します。救急搬送が必要になった場合に備えて、家族以外の介護者にも保管場所を共有しておくとよいでしょう。また、普段の体調を記録しておくことも大切です。体重や血圧、脈拍や症状の変化を記録すると、異変に気付くことができます。緊急時に慌てないためには、誰へ連絡するかを決めておくことも必要です。家族やケアマネジャー、医療機関との連絡方法を整理し、すぐ確認できる状態にしておきましょう。

