日々の食事は、更年期の不調を和らげる土台づくりに深く関わっています。大豆イソフラボンをはじめ、カルシウムやビタミンDなど、更年期世代に積極的に摂りたい栄養素と、控えることが望ましい食習慣について解説します。即効性はないものの、続けることで身体の内側から変化を感じられる可能性があります。

監修医師:
馬場 敦志(宮の沢スマイルレディースクリニック)
筑波大学医学群医学類卒業 。その後、北海道内の病院に勤務。 2021年、北海道札幌市に「宮の沢スマイルレディースクリニック」を開院。 日本産科婦人科学会専門医。日本内視鏡外科学会、日本産科婦人科内視鏡学会の各会員。
更年期障害と食べ物の関係|食事で整えるホルモンバランス
更年期障害の症状緩和において、日々の食事は非常に重要な役割を果たします。薬のような即効性はありませんが、バランスの取れた食事を続けることで、身体の内側からホルモンバランスの乱れを穏やかに整え、不調に負けない身体の土台を作ることができます。
大豆イソフラボンとエストロゲン様作用
更年期対策の食事法としてよく知られているのが、大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」の摂取です。大豆イソフラボンは、化学構造が女性ホルモンのエストロゲンと似ているため、体内でエストロゲンの受け皿(受容体)と結びつき、マイルドなエストロゲン様の働きをすることが分かっています。これにより、エストロゲンの急激な減少による影響を和らげ、特にホットフラッシュの頻度や重症度を軽減する効果が期待されています。豆腐、納豆、豆乳、みそ、きな粉などの大豆食品を日常的に食事に取り入れることが推奨されます。ただし、サプリメントなどでの過剰摂取は推奨されていません。食品安全委員会が定める1日の摂取目安量の上限値(イソフラボンアグリコンとして70~75mg)を参考に、バランスの良い食事の中から摂ることが基本です。
カルシウムとビタミンDで骨粗しょう症を予防する
エストロゲンには、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、骨密度を維持する重要な役割があります。そのため、エストロゲンが激減する更年期以降、女性は骨がもろくなる「骨粗しょう症」のリスクが著しく高まります。骨の健康を維持するためには、骨の主成分であるカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDをセットで摂取することが不可欠です。カルシウムは乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ)、小魚、豆腐、緑黄色野菜(小松菜、ブロッコリー)などに多く含まれます。ビタミンDは、鮭やイワシなどの魚類、きのこ類(特に干ししいたけ)に豊富です。また、ビタミンDは日光(紫外線)を浴びることで皮膚でも生成されるため、1日に15分程度、適度に日光を浴びる習慣も骨の健康維持に役立ちます。
更年期障害に有効な食べ物と避けたい食べ物
更年期障害の症状を和らげるためには、積極的に摂りたい食べ物と、できるだけ控えたい食べ物を把握しておくことが役立ちます。日々の食事選びの参考にしてください。
積極的に摂りたい栄養素と食品
更年期の不調を和らげるうえで、以下のような食品が注目されています。
・大豆製品(豆腐・納豆・豆乳・みそ):イソフラボンの供給源
・青魚(サバ・イワシ・サーモン):オメガ3脂肪酸による炎症抑制効果が期待される
・緑黄色野菜(ブロッコリー・ほうれん草・かぼちゃ):ビタミン・ミネラルが豊富
・ナッツ類(アーモンド・くるみ):ビタミンEや良質な脂質を含む
・発酵食品(ヨーグルト・ぬか漬け):腸内環境の改善に役立つとされる
これらの食品を単独で摂るよりも、バランス良く組み合わせることで、全身の栄養状態を整える効果が期待されます。特定の食品に頼りすぎず、多様な食材を日常的に取り入れることが理想的です。
控えることが望ましい食べ物と生活習慣
一方で、更年期の症状を悪化させる可能性があるとされる食べ物や習慣もあります。アルコールの過剰摂取はホットフラッシュを誘発・悪化させる要因の一つとされており、摂取量を控えることが望ましいとされています。また、カフェインを多く含むコーヒーや紅茶、エナジードリンクなども、ホットフラッシュや睡眠障害を悪化させることがあるとの見解があります。さらに、糖分や飽和脂肪酸の多い食品は、体重増加や血糖値の乱れにつながり、更年期症状の管理をより難しくする可能性があります。過度な制限より、バランスの取れた食事を意識することが大切です。

