
アーティスト・杉田万智とは?「境界線」を巡る飽くなき探究
杉田万智 / Machi Sugita
2000年生まれ、埼玉県出身。女子美術大学を卒業後、急速に頭角を現した杉田万智は、一貫して「光」と「看板」をモチーフに、理想の世界を追求してきました。
彼女の作品の特徴は、眩いばかりのネオンや夜の街を彷彿とさせる鮮やかな色彩、そしてどこか郷愁を誘う風景の断片です。近年、彼女の関心は「日本国内の境界線」へと広がりを見せています。ロシアとウクライナの情勢をきっかけに、北方領土、沖縄、与那国島、そしてアイヌ文化といった、日本が抱える歴史的・社会的な「境界」を自らの足で歩き、見つめ続けてきました。
参考作品《Border No.10》2024年, F150, キャンバスに油彩
新作個展「灯火」の見どころ:風景の欠片が集う「一本の道」
参考作品《WE ARE ALL HUMAN No.4》2024年, F30, キャンバスに油彩
今回の個展「灯火」は、2025年に開催された「BORDER」や「反射光を受けて、境界線に立つ」の流れを汲みつつ、さらにその思索を深化させた内容となっています。
土地の記憶を画面に刻む
杉田は、宗谷から眺めたサハリンの近さ、街中に息づくアイヌ文様、台湾を望む与那国島など、各地で触れた記憶や人々の営みを「風景の欠片」として収集。それらを一つの画面に密集させることで、複雑に絡み合う現代社会の縮図を描き出します。
「マイノリティ」としての視点
ステートメントの中で、杉田は自身も「マイノリティという区分の中に存在する」と語っています。他者の境界線を見つめることは、同時に自分自身を見つめ直すこと。作品に描かれる「看板」や「光」は、迷いの中にある私たちを導く標識(道しるべ)のようにも感じられます。
大作が放つ圧倒的な存在感
参考作品《Reflection》2025年, F100, キャンバスに油彩
展示予定の《Border No.10》や《Reflection》など、100号を超える大作は、キャンバスに油彩で描かれた層の厚みと、光の粒子が飛び散るような筆致が魅力。画面から溢れ出すエネルギーを、ぜひ至近距離で体感してください。
