陰部がむずむずする原因はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が陰部がむずむずする原因について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「陰部がむずむずして眠れない」原因は?潜む”5つの疾患”と対処法を医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
阿部 一也(医師)
医師、日本産科婦人科学会専門医。東京慈恵会医科大学卒業。都内総合病院産婦人科医長として妊婦健診はもちろん、分娩の対応や新生児の対応、切迫流早産の管理などにも従事。婦人科では子宮筋腫、卵巣嚢腫、内膜症、骨盤内感染症などの良性疾患から、子宮癌や卵巣癌の手術や化学療法(抗癌剤治療)も行っている。PMS(月経前症候群)や更年期障害などのホルモン系の診療なども幅広く診療している。
陰部がむずむずする原因
陰部がむずむずする感覚は、日常生活の質を低下させるだけでなく、睡眠不足やストレスの原因にもつながります。この不快な症状が起きるまでには、実はさまざまな要因が潜んでおり、その症状に応じて適切な対処が必要になります。そのためにも、原因を正しく理解することが重要なため、ここでは、主な原因について詳しく解説します。
接触性皮膚炎
接触性皮膚炎は、外部からの刺激物質が皮膚に触れることで炎症を引き起こしている状態です。デリケートゾーンでは、生理用ナプキンやおりものシート、きつめの下着や合成繊維のもの、タンポン、洗剤、柔軟剤、香料、コンドームの材質など、さまざまなものが刺激となり、かぶれやかゆみを生じることがあります。特に、化学物質や香料を含む製品には注意が必要です。このような症状の場合、治療には、ステロイド外用薬が処方されるほか、皮膚炎専用の石けんなどが勧められる場合もあります。
外陰腟カンジダ症
外陰腟カンジダ症は、カンジダという真菌が過剰に増殖することで発症します。カンジタ菌自体は、常在菌の一種ですので、健康状態が良好であれば増殖することはほとんどありません。しかし、ストレスや疲労、免疫力の低下などのさまざまな理由でカンジタ菌が増殖してしまうことがあります。自覚症状としては、強いかゆみや、灼熱感、痛み、性交痛、排尿障害などがあります。目に見える症状としては、外陰部に軽度の腫れや赤みが出る、カッテージチーズ状の白いおりものが増加するなどがあります。また、抗生剤の内服による影響で発症することも多くあります。このような場合、治療は抗真菌薬の使用が一般的で、症状が落ち着くまでは、当該部分を清潔かつ安静に保つことが必要になります。そして、再発防止のためにも通気性のよい下着を選ぶ、過度な洗浄を避けるなどの生活習慣の見直しも並行して行いましょう。
腟トリコモナス症
腟トリコモナス症は、トリコモナス原虫の感染によって引き起こされる性感染症です。症状としては、黄緑色で泡状のおりもの、悪臭、外陰部のかゆみや灼熱感、排尿時の痛みなどが挙げられます。ただし、感染していても自覚症状が出ない場合もあるため注意が必要です。このケースの場合、治療には抗原虫薬が用いられます。
尖圭コンジローマ
尖圭(せんけい)コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じる疾患で、感染して3週間から8ヵ月後に外陰部や肛門周囲に小さなイボが形成されます。これらのイボはやわらかく、表面が凸凹しており、これらのイボが増えていく際に、かゆみや違和感を伴うことがあります。イボは放置してしまうと、なくなるどころか増えていくことがあるので、早期に治療を行いましょう。治療法としては、外科的切除や凍結療法、レーザー治療、外用薬の適用などがあります。ただし、感染していても無症状の場合などもありますので、気になる場合は、医師に相談してみることがおすすめです。
性器ヘルペスウイルス感染症
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)の感染によって引き起こされる性感染症です。感染時には、外陰部に小さな水ぶくれや潰瘍が出現し、強い痛みやかゆみを伴います。治療には抗ウイルス薬を用いて、症状を軽減したり再発防止を行ったりしますが、一度発症するととても再発率が高い性感染症といわれています。
その他の要因
過度な洗浄や石けんの使用、ストレス、さらには生理前や更年期などのホルモンバランスの変化は、皮膚のバリア機能を低下させます。これらは肌の敏感な状態を引き起こし、乾燥やかゆみを誘発する可能性があります。そのため、デリケートゾーン専用の低刺激性洗浄剤を使用し、適切な保湿とストレス管理を心がけましょう。もし、症状が続く場合には病院の受診も検討してみてください。
「陰部がむずむずする」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「陰部がむずむずする」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
陰部がむずむずしてかゆい場合、何科を受診すべきですか?
阿部 一也(医師)
女性の場合は婦人科、男性の場合は泌尿器科を受診するのが一般的です。また、皮膚の炎症が強い場合は皮膚科でも相談可能です。感染症の疑いがある場合は、パートナーと一緒に受診することも検討してください。
市販薬を使っても治らない場合はどうすればいいですか?
阿部 一也(医師)
市販薬を数日間使用しても改善が見られない、あるいは悪化する場合は、カンジダ症や性感染症など、特定の薬剤が必要な原因の可能性があります。自己判断で薬を使い続けると、かえって診断を遅らせることがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

