刑務所で適切な医療を受けられずに死亡したとして、無期懲役刑で服役中に亡くなった星野文昭さんの遺族が、国家賠償法に基づき、国に損害賠償を求めた裁判の控訴審判決が6月26日、東京高裁であった。
古谷恭一郎裁判長は、遺族と国双方の控訴を棄却し、国に計約2200万円の賠償を命じた一審の東京地裁判決を維持した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●1971年の「渋谷暴動事件」で無期懲役に
星野さんは1971年の「渋谷暴動事件」で、警察官に対する殺人などの罪で無期懲役が確定し、徳島刑務所に服役していた。
2019年3月、肝臓に大きな腫瘍が見つかったが、すぐに治療を受けられず、その後、東京の東日本成人矯正医療センター(医療刑務所)に移送された。同年5月に手術を受けたが、2日後に73歳で亡くなった。
遺族は、星野さんが亡くなったのは、刑務所側が適切な医療や移送を実施しなかったためだとして、国に国家賠償を求めて提訴した。
●争点は「医師の過失」と死亡との因果関係
裁判では、医療刑務所の医師が手術後に大幅な血圧低下が生じた際、術後出血を疑って適切な検査などを実施する義務があったか、それを怠ったことと死亡との間に因果関係があるかなどが争点になった。
一審の東京地裁は2025年3月、医師の義務違反と死亡との因果関係などを認め、国に計2233万円の支払いを命じた。
一方で、徳島刑務所が、星野さんの体に大きな腫瘍があることに気づいたにもかかわらず、すぐに適切な治療につなげなかった点については、判断を示していなかった。
これに対して、遺族と国の双方が控訴していた。

