中学生のころ、普段は穏やかな祖母に一度だけ叱られたことがあります。笑っている祖母の姿しか見たことがなかった私は、そのときの祖母の険しい表情に驚きました。私はただ母と話をしていただけ。何か悪いことをした覚えもなく、突然の祖母の言葉に、その場で固まってしまいました。
「男の人の前でそんな話はダメ!」
ある日、学校から帰宅すると、祖母が遊びに来ていました。祖母は当時80代。
ちょうど私は生理中で、おなかが痛いことや憂うつな気分について母と話していました。特別な内容ではなく、普段から家でしている何気ない会話でした。
同じ部屋には兄もいましたが、私は特に気にせず話を続けていました。すると突然、祖母の表情が変わったのです。
「はしたない!!」
祖母が思わず声を荒げたため、私は何が起きたのかわからず、その場で固まってしまいました。
その後、祖母は私をそばに呼び寄せ、兄に聞こえないよう小声でこう続けました。
「男の人がいる前で、そんな話をするものじゃありません」
普段は穏やかな祖母だっただけに、私はただ驚くばかりでした。
兄なんだけど…?
兄は家族ですし、そもそも私は兄に向かって話していたわけではありません。母と会話をしていて、その場に兄がいただけ、でした。
「どうしてそんなことで怒るの?」
「兄なんだから別にいいじゃん」
当時の私はそう思っていました。「おばあちゃんは考え方が古いな」と感じていた記憶もあります。
それでも、めったに怒らない祖母が真剣な表情をしていたことだけは強く印象に残りました。

