愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の研究員らは、歯周炎と代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)の関係について調査し、特に50代の女性で関連が見られることを発表しました。いずれも気づかないうちに進行していることがある病気であり、健康リスクへの影響が懸念されます。この内容について大津先生に伺いました。

監修歯科医師:
大津 雄人(歯科医師)
東京歯科大学歯学部卒業。東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学)修了。現在は大津歯科医院勤務。東京歯科大学インプラント科臨床講師。専門は口腔インプラント、インプラント周囲顎骨における骨微細構造特性解析の研究をおこなう。日本口腔インプラント学会専門医。
研究グループが発表した内容とは?
編集部
愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の研究員らが発表した内容を教えてください。
大津先生
愛知学院大学歯学部口腔衛生学講座の研究員らは、歯周炎と代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD:生活習慣などが関係して起こる脂肪肝の一種)の関係について、特に男女差に注目して調査しました。対象は、健康診断を受けた40〜74歳の人で、歯周炎の有無や程度とMASLDの発症リスクとの関連を分析しました。その結果、女性では中等度または重度の歯周炎がある場合、歯周炎がない女性と比べてMASLDになる可能性が高いことが分かりました。特に50〜59歳の女性では、歯周炎とMASLDとの間に明らかな関連が確認されました。一方で、男性やほかの年齢層の女性では、同様の関連は見られませんでした。
この結果から、歯周炎がMASLDの発症リスクに与える影響には、性差がある可能性も示されました。またこの研究では、女性ホルモンなどの影響が関係している可能性も考えられています。
テーマになった疾患とは?
編集部
今回のテーマに関連する歯周炎について教えてください。
大津先生
歯周炎とは、歯と歯ぐきの間にたまった歯垢や歯石によって、歯を支える組織や骨に炎症が起こる病気です。進行すると歯ぐきの腫れや出血だけでなく、「歯周ポケット」が深くなり、細菌感染しやすくなります。その結果、歯を支える骨が破壊され、歯がぐらついたり、最終的には歯を失ったりする恐れがあります。歯周炎は年齢を問わず起こる可能性がある病気で、糖尿病や喫煙、免疫機能の低下なども発症や悪化に関係します。初期には自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行する場合も珍しくありません。歯を長く健康に保つためにも、毎日の歯磨きを丁寧に行い、定期的に歯科検診を受けて早めの対策を心がけましょう。

