感染性心内膜炎の代表的な症状はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が感染性心内膜炎の概要と代表的な症状について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「感染性心内膜炎」を発症すると”爪にも症状”が現れる?死亡率や治療法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
藤井 弘敦(医師)
三重大学医学部卒業。沖縄県立中部病院で初期研修、河北総合病院で外科研修を経て現在は菊名記念病院で心臓血管外科医として日々手術・重症者管理を行っている。医療用アプリの開発や在宅診療、海外で医療ボランティアを行うなど幅広く活動している。外科専門医、腹部ステントグラフト実施医/指導医、胸部ステントグラフト実施医、米国心臓病学会ACLSプロバイダー、日本救急医学会JATECプロバイダーの資格を有する。
「感染性心内膜炎」とは?
感染性心内膜炎とは、血液中に侵入した細菌が心臓の弁に付着して引き起こされる感染症です。細菌が弁の表面で増殖して塊(疣腫:ゆうしゅ)を形成し、弁を破壊することで血液の正常な流れが妨げられ、心臓のポンプ機能が低下します。さらに進行すると心不全や脳梗塞、腎不全などの全身合併症を起こし、命に関わることもある非常に危険な病気です。比較的まれな病気ではありますが、歯科治療や医療処置などをきっかけとして発症することもあり、誰にでも起こり得る疾患です。発症すると重症化しやすいため、疑わしい症状があれば放置せず、早期に医療機関を受診して適切な治療を受けることが極めて重要です。
感染性心内膜炎の代表的な症状
感染性心内膜炎の症状は発熱や倦怠感から始まり、進行すると心不全や脳梗塞を起こすこともあります。初期症状を見逃さず、早めに気づき受診することが何より大切です。
発熱や倦怠感
最も多く見られる症状は発熱と倦怠感で、38℃程度の熱が数日間続くことが多いです。風邪やインフルエンザと間違えられやすいのですが、解熱剤が効きにくいのが特徴です。数日たっても解熱しない場合は、早めに内科や循環器内科を受診してください。
息切れや心雑音
感染によって心臓の弁が障害されると、聴診で「心雑音」が聞こえるほか、動悸や息切れが出てきます。これは心不全が進行しているサインで、放置すると急速に悪化する可能性があります。特に呼吸が苦しく横になれない状態の場合は、心臓への負担が限界に達している可能性が高いため、早急に循環器内科を受診するか、緊急性が高い場合は救急搬送が必要です。
手足の麻痺
心臓の弁の上に形成された細菌の塊(疣腫)が、血流に乗って飛んでいき脳の血管を詰まらせる恐れがあります。このような状況になると、脳梗塞が引き起こされ、手足の麻痺や言葉が出にくいなどの神経症状が現れることがあります。これを、感染性心内膜炎に伴う脳塞栓症と呼びます。脳梗塞は一度発症すると後遺症を残すことも多いため、救急科や脳神経外科等での早期の正確な診断と治療が欠かせません。
皮膚や爪の異常
感染性心内膜炎でできた疣腫が手足などの末梢血管に飛ぶことで、皮膚や爪に特徴的な異常が出ます。代表的なのは、指先の小さな赤い斑点(点状出血)や痛みを伴うしこり(オスラー結節)です。これらは対症療法で治るものではありません。感染性心内膜炎そのものに対する、根本的な治療が必要です。

