排泄介助は毎日繰り返し行う必要があるため、身体的な負担だけでなく、精神的な悩みを抱えやすい介護の一つです。
夜間対応や失敗時の片付けや、要介護者への声かけに悩み、一人で負担を抱え込んでしまう方も少なくないでしょう。
本記事では排泄介助の悩みについて、以下の点を中心に紹介します。
排泄介助でよくある悩みへの対処法
排泄介助で意識したいポイント
負担軽減につながる相談先や介護サービス
排泄介助の悩みについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長
排泄介助でよくある悩みと対処法

夜間のトイレ介助がつらい場合はどうすればよいですか?
夜間のトイレ介助や失禁対応は、身体的・精神的な負担が大きくなる場合があります。特に認知症のある方は、不安感から何度もトイレに行こうとする傾向があり、介護者の睡眠不足につながることもあります。
排泄介助の負担を軽減するためには、次のような工夫が役立ちます。
・排尿日誌をつけて排尿パターンを把握する
・ポータブルトイレや夜用紙おむつを活用する
・夜間頻尿の原因となる病気を治療する
・夜間の訪問介護サービスを利用する
夜間頻尿は、高血圧や過活動膀胱などの病気が関係している場合もあるため、症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。
失禁や排泄漏れによる負担が大きい場合はどうすればよいですか?
失禁や排泄漏れによる負担が大きい場合は、排泄のタイミングや介護用品の見直しが大切です。特に夜間は、尿量や体勢によって漏れが起こりやすくなるため、本人の状態に合ったおむつやパッドを選ぶ必要があります。
例えば、吸収量の多い夜用パッドへ変更したり、身体にフィットしやすいテープ式おむつを使用したりすると、漏れの軽減につながる場合があります。
また、防水シーツを活用すると、寝具の汚れや洗濯の負担軽減にも役立ちます。
排泄状況は身体状態の変化によって変わる場合もあるため、定期的に介護用品を見直すことも大切です。
困った場合は、ケアマネジャーへ相談し、介護用品の選び方を見直してみましょう。
要介護者に排泄介助を拒否される場合はどうすればよいですか?
排泄介助を拒否される場合は、無理に説得しようとせず、本人の羞恥心や不安に配慮することが大切です。排泄介助は自尊心に関わるデリケートなケアであり、恥ずかしさや情けなさを感じて拒否につながることがあります。
そのため、「おむつを替えましょう」ではなく、「少し身なりを整えましょうか」などの声かけへ言い換える工夫が役立ちます。
また、認知症の方は状況を理解できず不安を感じる場合もあるため、拒否が強いときは無理をせず、時間を空けて落ち着いてから再度声をかけることも大切です。
本人が安心しやすい声の大きさや話し方を意識することで、介助を受け入れやすくなる場合もあります。
おむつや尿取りパッドはどのように選べばよいですか?
介護用おむつには、主にリハビリパンツとテープ止めおむつ、そして、その中に入れて使う尿とりパッドがあります。
まず尿とりパッドは、下着、もしくはおむつの中に入れて使用します。下痢気味のときや、術後ケアの場面での使用もおすすめです。
紙おむつと尿とりパッドを併用すると、おむつを汚しにくく、尿とりパッドの交換のみで済む場合もあるため、おむつ代やお肌の負担を軽減したいときにもおすすめです。
リハビリパンツは、下着のように履けるパンツタイプのおむつです。薄型の商品も増えており、自然な見た目で使用しやすい特徴があります。
リハビリパンツは、自力で動ける範囲が広い、次のような方に推奨されています。
・自力で立ち上がれる
・尿意や便意がある
・介助があればトイレへ行ける
・時々失禁してしまう
・下着やパッドだけでは不安がある
一方、テープ止めおむつとは、テープで固定するタイプのおむつです。ベッドに横になったまま交換しやすく、吸収量が多いという特徴があります。
テープ止めおむつは、次のような方に推奨されています。
・寝たきりの状態
・夜間の失禁が多い
・ベッド上で交換が必要
・長時間の吸収が必要
・介助者による交換が必要
また、おむつを選ぶ際は、吸収量やサイズ、通気性も確認することが大切です。本人の身体状態や排泄状況に合ったものを選びましょう。
排泄介助時のにおい対策はどのようにすればよいですか?
排泄介助時のにおい対策は、排泄物を溜め込まないことと、適切な処理を行うことが大切です。使用済みのおむつは、新聞紙などで包んでからビニール袋へ入れ、しっかり口を縛ることで、におい漏れを抑えやすくなります。
また、次のような工夫も有効とされています。
・ふた付きのごみ箱を使用する
・こまめに換気する
・消臭剤や重曹を活用する
・防水シーツや防水マットを敷く
ポータブルトイレを使用している場合は、バケツへ水を入れておくと、排泄物の付着やにおいの軽減につながります。
介護保険で使える福祉用具や住宅改修について教えてください
介護保険では、排泄介助に役立つ福祉用具の貸与や住宅改修を利用できる場合があります。
例えば、移動や立ち座りを補助する手すりや、ベッド横に設置できるポータブルトイレ、便座を高くする補高便座(ほこうべんざ)などがあります。
また、住宅改修では、手すりの取り付けや段差解消、滑りにくい床材への変更、洋式便器への交換などが対象です。
利用する際は、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談し、身体状態に合った用具や工事内容を検討しましょう。
参照:『福祉用具・住宅改修』(厚生労働省)
参照:『介護保険の居宅サービス福祉用具や住宅改修に関するサービス』(目黒区役所)
排泄介助で大切なポイント

排泄介助のポイントを教えてください
排泄介助では、介助を受ける方の自尊心への配慮が大切です。例えば排泄を周囲に手伝ってもらう際に、羞恥心や抵抗感を抱く場合があります。そのため、表情や声かけ、接し方に注意し、安心して介助を受けられる環境を整えましょう。
また、必要以上に手を出しすぎず、本人ができる動作は見守ることも重要です。急かしたり、失敗を責めたりすると、不安や拒否感につながる場合があります。
「ゆっくりで大丈夫ですよ」など、本人の気持ちに寄り添った声かけを心がけましょう。
排泄で失敗してしまったときの対応のポイントを教えてください
要介護者が排泄で失敗してしまった場合は、本人を責めず、落ち着いて対応することが大切です。失禁は本人も恥ずかしさや申し訳なさを感じている場合が多く、介護者の言葉や態度によっては強いストレスにつながることがあります。
目を合わせながら、「大丈夫ですよ」「すぐ交換しましょうね」など、安心できる声かけを心がけましょう。
また、排泄物の量やにおいについて触れたり、慌てた態度を見せたりしないことも重要です。冷静に対応することで、要介護者が排泄介助を頼みやすい関係づくりにつながります。
着替えや寝具交換を素早く行えるよう、必要な物品を事前に準備しておくのも役立ちます。

