重要文化財 源氏物語画帖 若紫 土佐光吉・長次郎筆 安土桃山~江戸時代・17世紀 京都国立博物館蔵 [京都会場のみに出品]
紫式部による作品『源氏物語』は世界最古の長編小説ともいわれ、千年以上も読み継がれてきました。その影響は文学だけでなく美術や芸能にも広がり、日本における文化の発展の源泉となった存在と言えます。
京都・東京の両国立博物館が力を合わせて実現する本展では、日本の文化に豊かな「かがやき」を与え続けた名作の魅力にあらためて注目。『源氏物語』の場面やモチーフを表した絵画、工芸品の展示に加え、写本や注釈類、物語から派生した芸能の広がりも包括して紹介されます。
見どころ① 京博では約50年ぶり、東博では初の「源氏物語展」開催!
紫式部像 土佐光起筆 江戸時代・17世紀 滋賀・石山寺蔵
『源氏物語』とは、平安時代に紫式部が書いた長編物語。美貌と才能に恵まれた主人公・光源氏を中心に、人生と恋模様を繊細な心の動きとともに綴った日本の名作です。
「源氏物語展」が開催されるのは、京博では約50年ぶり、東博では初めてとのこと。本展では、書き写されて伝わってきた『源氏物語』や、作者の紫式部自身についてはもちろん、後世への影響についても紐解いていきます。
車争図屛風(右隻) 土佐光茂筆 室町時代・永禄3年(1560) 京都・仁和寺蔵
『源氏物語』は単なる物語として楽しまれてきただけでなく、物語に記された行事が実際に行われることもあったそう。特に鎌倉時代後期から室町時代にかけて、こうした動きが起こったようです。
このように、長らく人々の憧れの的であった『源氏物語』は、絵画や工芸品のモチーフとして日本美術でも大きな存在感を放ちます。本展でも、特定の場面を暗示するモチーフで彩られた工芸品や、『源氏物語』のシーンを描いた色紙や絵巻、大画面の屛風などを展示。俵屋宗達による国宝《源氏物語関屋澪標図屏風》(東京・静嘉堂文庫美術館蔵)をはじめ、貴重な作品が一堂に会します。
源氏物語図扇面貼交屛風(左隻) 室町時代・16世紀 広島・浄土寺蔵
また、国内外で分蔵され全容が不明なことから「幻」とされる、《源氏物語絵巻(盛安本)》の一部も展示。源氏物語の全文を書写し数多くの絵を付した本作では、伝統に捉われず新たな図像も創造されています。一般的な源氏絵の枠を超えており、研究の観点でも重要な作品です。
源氏物語絵巻(盛安本) 葵(部分) 江戸時代・17世紀 京都国立博物館蔵
さらに、室町時代に活躍した宮廷絵所預・土佐光信による源氏絵が、アメリカから里帰りして出品。さまざまな作品を切り口に、『源氏物語』の世界観を味わえる展覧会となりそうです。
見どころ② 国宝《源氏物語絵巻》が場面を替えて全期間出品!
国宝《源氏物語絵巻》(愛知・徳川美術館ならびに東京・五島美術館蔵)は、『源氏物語』を描いた現存最古の作品であるのみならず、絵巻のなかでも最高傑作のひとつとされる名品です。本展では会期中に場面を替えながら、全期間通じての展示となります。
本作の見どころといえば、物語を表現する巧みな構図や、貴族世界を表すのにふさわしい色彩や線描。画面自体は縦20cmあまりと小さめながら、情感たっぷりに場面を表現します。さらに、物語本文を書写した詞書(ことばがき)の仮名文字や、紙にほどこされた装飾も大きな見どころです。
