迷惑な人だと思い込んでいた
しばらくして私はトイレに立ち、問題のビジネスマンの横を通り過ぎました。
その時、会話の内容が偶然耳に飛び込んできたのです。
「そうか、今病院に着いたんだな!」
「俺も新幹線を降りたらすぐ向かうから! 頑張って!」
男性の声は、必死に絞り出すような、興奮と不安が入り混じったものでした。
その後の会話も少し聞こえ、事情がおぼろげながら見えてきました。
どうやら男性の妻が出産を迎えているらしく、男性は病院へ向かう途中だったようです。
これから生まれてくる我が子と、陣痛と闘う妻。離れた場所にいる自分。
きっと、居ても立ってもいられなかったのでしょう。
想像してみることの大切さ
それを聞いた瞬間、彼に対する苛立ちは一気に吹き飛び、事情も知らずに不満を抱いていた自分が恥ずかしくなりました。
もちろん、公共の場では周囲への配慮が必要です。
でも、もしかしたら今回のように、やむを得ない事情や背景があるのかもしれません。
すべてを許容する必要はありませんが、少しだけ想像力を働かせれば見え方が変わることもあるのだと思います。
【体験者:30代・女性会社員、回答時期:2026年5月】
※本記事は、執筆ライターが取材又は体験した実話です。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
FTNコラムニスト:藍沢ゆきの
元OL。出産を機に、育休取得の難しさやワーキングマザーの生き辛さに疑問を持ち、問題提起したいとライターに転身。以来恋愛や人間関係に関するコラムをこれまでに1000本以上執筆するフリーライター。日々フィールドワークやリモートインタビューで女性の人生に関する喜怒哀楽を取材。記事にしている。

