サッカー・ワールドカップ(W杯)準々決勝(11日=日本時間12日、ノルウェー1―2イングランド、マイアミ競技場)史上初の8強入りを果たしたノルウェーと60年ぶりの優勝を目指すイングランドが対戦した。イングランドがノルウェーを延長戦の末に2-1で下し、準決勝進出を決めた。先制を許したイングランドだったが、ジュード・ベリンガムの2ゴールで逆転。VARによる2度の大きな判定やエースの負傷など、120分にわたり劇的なドラマが連続する死闘となった。
キックオフから両チームの意地が激しくぶつかり合う中、先手を取ったのは史上初のベスト4進出を狙うノルウェーだった。前半36分、マルティン・ウーデゴールからのパスをペナルティーエリア左付近で受けた22歳のアンドレアス・シェルデルップが、迷わず右足を振り抜く。ボールはゴール右上のトップコーナーへ突き刺さり、圧巻のスーパーゴールでノルウェーが先制に成功した。
しかし、イングランドもすぐさま反撃に出る。前半アディショナルタイム、アンソニー・ゴードンのアシストを受けたベリンガムがペナルティーエリア内でボールを収め、自らのドリブルで強引に持ち込んで同点ゴールをマーク。イングランドの若きエースが個の力で守備をこじ開け、試合は1-1の同点でハーフタイムを迎えた。
後半に入ると、試合はさらに激しさを増していく。後半11分、ノルウェーはコーナーキックの混戦からトルビョルン・ヘッゲムがネットを揺らし、勝ち越したかに見えた。しかし、ここでVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入する。直前のプレーにファウルがあったとしてゴールは取り消され、ノルウェーは絶好の勝ち越し機を逃した。
さらにノルウェーをアクシデントが襲う。今大会ここまで7得点を挙げている絶対的エースのアーリング・ハーランドが、後半の途中で足を痛めてしまったのである。だが、ノルウェーは規定の交代枠をすでに使い切っており、ベンチへ下げる選択肢を持っていなかった。満身創痍のハーランドは足を引きずりながらピッチに残り続け、両者追加点を奪えないまま前後半の90分が終了。勝負の行方は延長戦へと持ち込まれた。
1-1のまま迎えた延長前半、開始早々に試合が動く。延長前半3分、イングランドの波状攻撃から最後はこぼれ球にベリンガムがいち早く反応。この日2点目となるゴールを押し込み、ついにイングランドが逆転に成功した。
勢いづくイングランドは延長前半11分、途中出場のジェド・スペンスがエリア内で倒されてPKを獲得。試合を決定づける絶好機かと思われたが、ここでもVARが介入する。長い映像確認の末に判定が覆ってPKは取り消しとなり、イングランドの追加点のチャンスは幻となった。ノルウェーは首の皮一枚つながり、1点差のまま延長前半を終える。
延長後半の開始直前、ノルウェー陣営に動きがあった。延長戦突入に伴う追加の交代枠を利用し、限界を迎えていたハーランドをついに交代。エースは無念の表情でピッチを後にし、代わってヨルゲン・ストランド・ラーセンが投入された。
後がないノルウェーはアントニオ・ヌサやオスカー・ボブを中心に決死の猛攻を仕掛けるが、イングランドの強固な守備陣に阻まれてしまう。イングランドは延長後半6分に2ゴールの立役者であるベリンガムを下げてDFダン・バーンを投入し、完全に逃げ切りの体勢に入った。最後までノルウェーの反撃を凌ぎ切ったイングランドが2-1で勝利を収め、120分に及ぶ激闘に終止符を打った。
苦しみながらもベスト4へ駒を進めたイングランドは、準決勝でアルゼンチン対スイスの勝者と対戦する。敗れたノルウェーは初のベスト8という堂々たる結果を残したものの、最後は負傷とVARに泣き、新たな歴史の扉を開くことはできなかった。

