病気を通して見つめ直した「家族」と「人生」
編集部
病気になる前と後で、変わったことはありますか?
エコやんさん
すべてが大きく変わりました。まずは家族のことです。これほど長い時間を過ごすのは初めてのことで、家族の大事さがよく分かるようになりました。病気になる前は仕事と趣味のゴルフばかりを優先し、家庭にいるのは夜遅い時間だけという生活でした。今では反省しています。
仕事の面では、2年前に代表職を退いた後も会長として出勤を続けていましたが、病気になってからは、ほとんどがリモート対応になりました。便利さやありがたさを感じる一方で、会社から離れている寂しさもあります。それでも、週に2回ほど会社の幹部が交代で面会に来て励ましてくれることが、大きな支えになっています。
気持ちの面でも大きな変化がありました。がんと告知された直後は動揺し、かなり取り乱してしまいました。時間がたつにつれて「これからどう生きるか」「残された時間で何をするか」を考えるようになり、少しずつ心が落ち着いてきました。ただこの先、死が近づいたときに自分がどう感じるのかは、今の私にも分かりません。
編集部
これまでを振り返って、後悔していることはありますか?
エコやんさん
大いにあります。2年前までは、代表職を務めていた関係で人間ドックを受けていました。しかし、引退してからは人間ドックを受けず、かかりつけのクリニックで毎月の薬をもらうだけで済ませていました。その間に細かい検査をしていれば、手遅れになることはなかったかもしれないと思っています。
実は2年半ほど前に「糖尿病予備群」と言われ、薬を処方してもらっていました。思ったよりよくならず、半年ほど前から薬を変えたところ、数値はよくなり、安心していたんです。しかし、2月にこの状況になりました。あくまで私個人の経過ですが、糖尿病予備群ということはインスリンの分泌が悪いわけですから、膵臓の検査をきちんと受けるべきでした。この後悔だけは、後進の社員や仲間たち、そして読者の皆さんにも伝えたいと思います。
編集部
医療従事者へ伝えたいことはありますか?
エコやんさん
私が望むことは何もありません。とにかく謝意だけ伝えたいと思います。くも膜下出血と膵臓がん、2回も私の命を救ってくれて、私と同じように涙を流してくれた医療従事者の皆さんには、改めて感謝を申し上げます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
エコやんさん
私は、今年の1月まで元気な初老の男性でした。毎月1日には山に登ってお参りをし、家族と会社の安全や健康を祈願していました。代表職は引退しましたが、毎日会社に出勤して仕事をこなし、月に3〜4回は関東へ出張し、月に10回以上はゴルフもしていました。同年代に羨まれるほどの体力があったと自負しています。家族にも恵まれ、これから孫も増え、90歳まではゴルフを続けようなんて話していた矢先、熱を出して検査をしたら、余命数週間のがんと診断されました。
自覚症状もなく元気だった人間が、いきなり余命宣告を受けたときのショックは、地獄の穴に落とされた感じです。後悔・悔しさ・家族への反省・仕事への未練……さまざまな感情が次々と浮かび、「こんな現実あるのか」「なぜ自分が」「なぜこんなことに」と考え続けていました。
読者の皆さんも、どうか自覚症状がなくても、定期的に検査を受けてほしいと思います。
編集後記
エコやんさんは、突然の高熱からわずか数日で進行膵臓がんと診断され、余命宣告を受けました。重い肺炎や家族の試練が重なる中でも、周囲の支えを力に治療を続けています。エコやんさんが語るように、自覚症状がなくても病気が進んでいることはあります。体は元気だと思っていても、定期的に検査を受けることが大切です。
本稿には特定の医薬品、医療機器についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や販売促進などを目的とするものではありません。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
記事監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
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