転移性肝臓がんの症状はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が転移性肝臓がんの概要と主な症状について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「転移性肝臓がん」を発症すると”目”に現れる症状とは?他の症状も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
岡本 彩那(淀川キリスト教病院)
兵庫医科大学医学部医学科卒業後、沖縄県浦添総合病院にて2年間研修 / 兵庫医科大学救命センターで3年半三次救命に従事、近大病院消化器内科にて勤務 /その後、現在は淀川キリスト教病院消化器内科に勤務 / 専門は消化器内科胆膵分野
「転移性肝臓がん」とは?
肝臓にできるがんにはいくつか種類があります。そのうち、肝臓に元々あった細胞が原因でできたがんを原発性肝がん、他の臓器から転移してきたものを転移性肝がんと言います。
転移性肝がんの性質は、元々発生した場所(原発巣)の性質と同じであり、何処からやってきたかによって治療なども変わります。ここではその「転移性肝がん」について解説していきます。
転移性肝臓がんの主な症状
転移性肝がんの場合、元々他の場所にがんができ、進行してから肝臓に転移します。そのため、元の進行がんに伴う症状も多くあります。元の場所(原発巣)の症状は何処のがんであるかによって異なるためここでは述べず、転移性肝がんで起こりうる症状を解説します。
肝機能障害
転移性肝がんでは肝臓に腫瘍ができるため、肝臓の酵素が上がることがあります。逆に言うと、他の臓器のがんがある人に肝機能障害を認めた場合は肝臓への転移をきたしている可能性があります。消化器内科等で血液検査(AST、ALT等)を受け、肝機能を把握することが重要です。
腹痛(みぞおち・右脇腹)
転移性肝がんが小さい場合は肝臓の腫瘍自体で症状が出ることはあまりありません。しかしながら、転移性肝がんが進行した場合、腫瘍が増大することにより周囲を圧迫します。そのため、みぞおちやお腹の右上が痛むことがあります。
痛みが強い場合は痛み止めなどを使用して症状を抑えることになります。なお、腫瘍による痛みが出た場合、基本的に痛み自体を根本的に治すことは困難です。そのため、痛みが強くなれば痛み止めを増やしたり痛み止めの種類を調整したりして対応します。我慢せず主治医に相談しましょう。
体重減少
転移性肝臓がんでは、腫瘍の影響で体重が減ることがあります。半年など短期間に5kgなど、急激な体重減少があった場合などは悪性腫瘍がないか疑う所見となります。このようなことがあった場合は一度内科で検査を受けましょう。
閉塞性黄疸
転移性肝がんが胆管(肝臓の消化液を流す管)を塞いだ場合、塞がれた胆管の中に消化液(胆汁)が溜まります。その影響で腸に排出されないビリルビンという物質が溜まり、黄疸を引き起こします。黄疸が出た場合、皮膚が黄色くなったり痒みが出たりします。
黄疸は徐々に表れるため、毎日あっている、顔を見ている人(本人含む)がなかなか気づかず、久しぶりに会った人から指摘されることもあります。黄疸でははじめに白目の部分が黄色くなり始めますので、一度注意してみましょう。
腹部膨満・腹水
転移性肝がんによって肝臓の機能が悪くなってくると栄養状態が悪くなります。また、それらに伴い全身のむくみ(浮腫)や腹水を認めることがあります。
ただし、転移性肝がんによって起こっている症状の場合もありますが、元のがんが腹膜(お腹の中の臓器、腸などを覆っている膜)に移る(腹膜播種)することによって起こることもあります。この場合、安易にお腹の水を針で外に出したりすると余計に栄養状態が悪くなり腹水が悪化する状況に陥ってしまいます。そのため、栄養状態をよくしたり、尿で体内に溜まった水を外に出したりする治療を行います。腹水によってお腹の張り、痛みが強くなるなどであれば緩和治療の一環として腹水を抜くことはあります。主治医と相談しながら治療方針を決定していくことになります。
発熱(腫瘍熱・感染)
腫瘍が進行した場合、腫瘍に伴って熱が出ることがあります(腫瘍熱)。腫瘍による熱は細菌感染による熱と異なり、寒気などを伴わないことが多く、37℃後半~38℃台の熱がダラダラと続くような形で認めることが多いでしょう。
一方、転移性肝がんの場合、肝臓からの消化液を流す管(胆管)を腫瘍によって塞いでしまうことがあります。ふさがれた胆管には消化液(胆汁)が溜まり、この場所に感染を起こして高熱が出たり腹痛を認めたりすることがあります。その場合はドレナージや抗菌薬による治療が必要となることもあります。突然の高熱や腹痛を認めた場合は早めに内科、救急を受診しましょう。
意識障害(肝性脳症)
転移性肝がんによって肝臓の機能が悪くなる場合、肝臓の働きである有害物質の分解もできなくなります。そのため有害物質が身体に溜まってしまい、意識が悪くなることがあります(肝性脳症)。転移性肝がんが見つかった時点で元のがんのStageはⅣ、末期のため、がんにより意識状態が悪くなることもあります。

